第59話 質問 ページ10
視線だけ横へと滑らせれば、どうやら嘘をついていると思われているらしい。かの白太刀が抜刀し、引けばスパンと首が落ちますよ状態になっている。
鶴「はっ、この場で冗談をつくのは良くないぞ小娘」
あ「冗談、と……そう思います?」
鶴「嗚呼、新選組は幕末に存在する。生きてりゃ人の寿命をはるかに上回る。生きているとなれば、それはただの化け物にほかならない」
あ「ばけ、もの……」
化け物。その言葉に酷く心が抉られた。
そうだ。死神と称した、いとも命を簡単に消してしまうほどの力を持った、ただの、化け物だ。
否定なんて、できない。
そろりと後ろを見れば、疑わしい目を向ける長谷部さんに光忠の姿。ただ、三日月さんは分からなかった。本当に、あの人はわからない。
でも、疑わしい目は向けられてない。寧ろ、酷く、優しい目をしている。
そんな目で見るな、
泣きたく、なるから。
兼「鶴丸」
鶴「何だい」
兼「まだ嘘をついているとは限らねぇ」
鶴「なら、この小娘は江戸の幕末から長らく生きている超人ということになるが?」
兼「……最後の質問で、全て決まる。悪いが刀をしまってくれ」
兼さん刀剣男士の言葉に、渋々といった感じで刀を降ろした。すぐにでも首を刎ねる事が出来るように、納刀はしていない。
隣から一瞬の緩みもできないほどの殺気を浴びながら、兼さん刀剣男士の最後の質問を待った。
兼「……五つ目、最後の質問だ」
私を見る兼さん刀剣男士の表情は、キリッとした目に唇はどこか震えていて……そんな彼を見てとある人物とダブってしまった。
そう、土方歳三という、新選組の鬼の副長に。
兼「……あんたの、面を外してくれ」
あ「えっ、」
予想外の質問、というよりお願いに驚いてしまった。ここまでの流れで、最後はお前は何者だと言われると踏まえていたのに。
だが、この面を外せば姿がバレてしまう。
政府側や審神者にも外すなと言われている。
しかし……
兼「頼む!」
頭を下げ懇願してくる彼に、嫌だとは言えない(あのクソ白太刀は別だ)。和泉守……兼定、目の前の彼は、和泉守……。
あの人の刀……
あ「……わかりました」
兼「っ!」
あ「兼さん刀剣男士様、いえ……和泉守様だけに、お見せ致します」
すたすたと彼の元へ歩みを進めようとすれば、ガシッと手を強く掴まれた。
あ「…なんでしょう?」
鶴「………」
無言の儘私をじっと見る此奴。
握られる手に力が加わったのを感じた。
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十六夜 - えぇ、鶴丸落ちになりそうなんですが(汗)わたしは、三日月推しです!!! (2018年5月17日 3時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きは、まだでしょうか?早く続きが読みたいです!! (2018年3月30日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うぉぉぉ!!!すごく面白いです!!!今後の展開も楽しみです! (2018年3月6日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
白紫乃(プロフ) - とっても好きなお話です!更新お待ちしております! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 43803e668e (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 鶴丸は、夢主が好きなんですね。でも、私としては三日月落ちがいいです!!三日月、大好きです! (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d1ba9355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコ | 作成日時:2017年8月28日 12時