第82話 後日談2(鶴丸) ページ33
三「……さて、」
改めてと言わんばかりに区切りをつけた三日月は、微笑みながらも眼は笑っていない顔を俺に向ける。
三「いい加減己が気持ちと向き合ってはどうだ」
鶴「は?何言って、」
鶯「周りは良く見えてながらも己の事は知らず仕舞いでは、求めるものを手に入れる事は愚か、手に触れることすらままならないぞ」
ちらりと俺を見た鶯丸は、そそくさと茶を片手に何処かへと歩き去っていく。まぁ検討はついてはいるが、勝手な事を言われたまま去られるのは勘に触る。
鶴「おい、どういう意味か説明してもらおうか」
三「説明などない、お前自身が見つけ知り得なければならないのだからな。今とて、胸の奥に渦巻くものがあるだろう」
ズキンっと胸奥が疼く様に痛みを覚えた。
なんだ……この痛みは、まさか図星なのか?
三「苛々が募る一方では他の者に迷惑だ、どうにかして始末をつけろ」
鶴「迷惑になるのはあの見習いだ。彼奴に迷惑極まりない事を大いにしてやるさ」
三「何故お前は彼奴をそこまで疎むのだ」
鶴「何故かって?そりゃあ、」
ふと言葉が詰まる。
………何故かって、決まっている。彼奴は俺達に害なす者。乗っ取りかもしれない……いや、その疑いはもう既に晴れた。いやしかし短刀を誑かしている。……薬研や小夜達は違うって、必死に訴えていた、か………いや、だがしかし……
ぐるぐると自身の中で自問自答を繰り返していれば、小さく笑みを零した三日月が軽やかな足取りで俺の横を通り過ぎようとした。
三「いずれ答えが出る事だろう。……見習いがいる期間はもうすでにない、多く見積もっても一週間程度だろうな」
その言葉にガツンと硬い何かで頭を殴られた感覚に駆られた。
……あの女が、多く見積もっても滞在は一週間。
やぁ、実に嬉しい事だな!さっさとこの本丸から出て行って貰わないとな。他の奴らだって目がさめるだろうし。
な、三日月?
鶴「………っ、」
その台詞を三日月に言いたいのに、どんなに振り絞ろうとするも全く言葉が声にならない。
何故だ、何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ?
鶴「くそ!」
横にある壁を殴りつける様に叩いては、三日月から去るように、いや、逃げるように俺は足を進めた。
鶴「なんだってんだ……くそっ、」
苛つきは収まらないまま、俺は出陣のために部屋へと足を進めた。
三「………まぁ俺としては、知らない儘の方が嬉しいんだが、な」
ぽつりと呟いた三日月を、俺は知らない。
804人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
十六夜 - えぇ、鶴丸落ちになりそうなんですが(汗)わたしは、三日月推しです!!! (2018年5月17日 3時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きは、まだでしょうか?早く続きが読みたいです!! (2018年3月30日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うぉぉぉ!!!すごく面白いです!!!今後の展開も楽しみです! (2018年3月6日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
白紫乃(プロフ) - とっても好きなお話です!更新お待ちしております! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 43803e668e (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 鶴丸は、夢主が好きなんですね。でも、私としては三日月落ちがいいです!!三日月、大好きです! (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d1ba9355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミコ | 作成日時:2017年8月28日 12時