第53話 闇(鶴丸) ページ4
バッシャーンと、ど派手な音を立て俺は濁流の川へと落ち呑まれた。
視界が一気に黒の闇色に染まる。
然しあの時間遡行軍の奴め、色々と驚かせて貰ったぜ。隠蔽の数値がずば抜けて高い奴だったな。
この俺や三日月が気付かない程とはなぁ。
こぽこぽと音を立て俺は流され……いや、流れていない？
鶴「………、」
気がつけば流される事なく、徐々に川底へと引き寄せられる。見た所底なんて見えもしないが。
下に向かうにつれて、瘴気が強くなる。
鶴「っ、ごぼ…」
ぎしっ、と身体が……骨が軋む音と共に全身に痺れる様な痛みが走る。息を止めていたのに、ある程度持っていかれてしまった。
沈んでいく俺、暗闇に……懐かしい闇に、また、戻るのだろうか。
………それも、良いのかもしれないなぁ。
そう思えば瘴気は徐々に形を成し、触手の様な元へと変わっては俺の身体の彼方此方に巻き付き、一層ぐいぐいと下へと沈められていく。
やばいな、……意識が、視界が……霞んで……
此の儘折れてもいい、俺なんかが居なくたって本丸は成り立つ。三日月がいるから大丈夫。嗚呼、光坊に身なりを整える為のあの鏡をうっかり割ってしまった事、謝りそびれたな。歌仙の雅だろうと言っていた花瓶も割ってしまってそのまま隠した儘だな。あ、平野に借りた物も借りっぱなし。主とでぇと、とやらをしようという約束もしていたな……
……まぁ何より、あの見習いの顔を拝めなかった事が一番の心残りだな。
一気に視界は闇となり、俺は双眸を緩慢に綴じた。
あの見習いと話がしたかった。顔を、面の下の表情を見たかった。薬研達と楽しそうに話している中に入りたかった。触れてみたかった、傷付けたことを謝りたかった。
嗚呼、随分と滑稽な様になったものだ。
あの小娘如きに翻弄され、心残りが多いのもあの娘。……もう一度、顔を見れなくても、姿だけでも見たかった。
もう一度だけ、様なんて付けずに……
俺の名を、呼んで欲しかった。
声が、君の声が聞きたかった。
_____…る、
微かに聞こえる声、下の亡者共が俺を呼んでいるんだな……
_____るま……、が
_____鶴丸、国永‼‼
鶴「っ‼⁉」
聞きたかった声が聞こえる。
嘘だ、君は俺の名を呼ばない。それなりのことを俺はしたんだ……
いや、だが……
夢でもいいと双眸を開けば、細く折れそうな腕を俺へと伸ばし、俺の腕を掴む。
見習いがまるで光の様に……
絡み付いていた黒の触手は、一瞬にして消えた。
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十六夜 - えぇ、鶴丸落ちになりそうなんですが(汗)わたしは、三日月推しです！！！ (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きは、まだでしょうか？早く続きが読みたいです！！ (2018年3月30日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うぉぉぉ！！！すごく面白いです！！！今後の展開も楽しみです！ (2018年3月6日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
白紫乃(プロフ) - とっても好きなお話です！更新お待ちしております！ (2018年2月21日 20時) (レス) id: 43803e668e (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 鶴丸は、夢主が好きなんですね。でも、私としては三日月落ちがいいです！！三日月、大好きです！ (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d1ba9355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミコ | 作成日時：2017年8月28日 12時
