第74話 熱い抱擁 ページ25
もくもくと爆風により舞い上がった砂煙が晴れていく。三日月と衝突し交差した為、互いに背を向けあっている事だろう。
盛り上がっていた歓声はぴたりと止み、聞こえてくるのは背後の三日月の朗らかな声だった。
敵三「爺も中々にやるだろう?」
私の死神装束の上の黒地の着物の袖や裾などが数多に切れ、前はクロスに斬られていた。
ピシッと亀裂が入る音がしたと思えば、私のお面は見事に割れるどころか半ば砕ける様に落ち、カランと音を立てて地へと落下する。目元の下を斬られたのか、そこから血が滲み頬を伝い下へと落ちた。
……くそ、三日月宗近は伊達じゃなかったな。
まさか、私の辛うじて普通の状態で飄々と私に傷をつけるどころか、流血までさせるとは。
こりゃあ驚きだねぇ、だが……
あ「この勝負、貰いました」
敵三「……ふむ、」
後方で防具の様な重い物が落ちた様な音が聞こえ、微かに鮮血の匂いがした。
元々強かった彼の刀に、私の霊圧を乗せた攻撃を殺す寸前で止めはしたものの、無事ではないことは確かだ。
……和泉守との、奥義___
あ「『奥義・紅蓮之太刀』」
敵三「お見事」
刀を振り払い納刀しながら静かに言葉を紡げば、背後からも同様納刀する音が聞こえた。それが試合の終わりを告げる様に、一気に歓声が沸き上がる。
始めの頃より、2倍くらいの盛り上がり具合だ。
あ「……はぁ、やれやれ」
敵蛍「あーあ、負けちゃった。けど、強いね」
あ「あはは、どうもどうも」
敵太「完敗です」
敵光「格好つかないなぁ……」
敵の無事組がわらわらと寄ってくるのに対し、ふとある事を思い出した。
……やべ、お面壊しちゃった。これ確か、ここの特注品中の特注品だったって榊が言ってた様な言ってなかった様な?
嬉々から一変蒼白へと顔色が変わった瞬間、何かが私に突進してきてその人の体躯に思いっきり顔面をぶつけてしまった。
あ「んぐっ、」
兼「無事か見習い⁉」
あ「い、いずみの、」
兼「っ、怪我するなっつー方が難しいが、綺麗な顔に傷できちまったな……」
あ「これは気にし、っっっ‼‼⁉」
ぎゅっと彼に強く掻き抱く様に抱き締められた。
え、何ちょっとこんなラブコメみたいな展開誰も求めてないです、やだ良い香り凄い恥ずかしくて心臓バクバクいってる誰か助けて。
鶯「然し素晴らしい戦いだったな、流石は俺の見習い」
兼「いや、俺の見習いだ」
鶯丸、いたのか……
そしてお前らのじゃない、と心の中で呟いた。
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十六夜 - えぇ、鶴丸落ちになりそうなんですが(汗)わたしは、三日月推しです!!! (2018年5月17日 3時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きは、まだでしょうか?早く続きが読みたいです!! (2018年3月30日 11時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うぉぉぉ!!!すごく面白いです!!!今後の展開も楽しみです! (2018年3月6日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
白紫乃(プロフ) - とっても好きなお話です!更新お待ちしております! (2018年2月21日 20時) (レス) id: 43803e668e (このIDを非表示/違反報告)
霜月 - 鶴丸は、夢主が好きなんですね。でも、私としては三日月落ちがいいです!!三日月、大好きです! (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d1ba9355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコ | 作成日時:2017年8月28日 12時