ごめん。［Sho］〈短編集〉 ページ36
『もう知らない！』
初兎「は？おい、ちょ、待てって！」
泣きながら家を飛び出した。
私のことを止めようとした、大好きな彼の言葉を無視して。
バカみたい。小さな事で怒って、挙句、心配の声を無視して、家を飛び出して。
『…私は…子供かよ…。ぐすっ。』
分かってる。自分が悪いんだって。私が…小さなことで怒る私が悪いんだってっ…！
『なんで構ってくれないの！』
そんなの決まってる。彼は活動があるもの。
『なんで…？』
あぁ、そういえば今日…彼の誕生日だっけ…。
突然音を鳴らすスマホ。慌ててポケットから取り出すと、画面には「初兎」の文字。
『っ…』
赤と青のボタン。
私は怖くて震えた手でそっと、青のボタンを押した。
するとスピーカーを音にしていないのに、大声に聞こえるほど大きな彼の声が聞こえてきた。
大きい声…出すの苦手じゃないの？
初兎「A!?家帰ってきて？俺…話したいことある。」
『っ…。うん…私も…ある。』
そう言うと、焦ったような声ではなく、いつもの柔らかい優しい彼の声に、少し戻った気がした。
初兎「そっか。そんじゃあ、待っとるな。」
『うん…』
少し辛かった。彼にばっかり無理をさせている。私は、我儘を言っている。でも…彼は、そんな私の我儘を文句も言わずに聞いてくれる…。そして…っ、優しくしてくれる。
『なんでそんなに優しくなれるのか…私には分かんないよ…。』
少し羨ましいと思い、力を込めて口に出した。
『…ただいま…。』
初兎「！おかえり。A…俺から話していい？」
怖くて顔があげられなかった。だから、今初兎ちゃんが今、どんな顔をしてるかは、分からなかった。
『うん…。』
あぁ、怒られるんだろうなと思って、声が少し震えていたのが自分でもわかった。
初兎「…ごめん。」
『え…？』
聞こえてきた弱々しい声と内容に驚き、ふっと顔を上げた。
初兎「俺さ…Aのこと、ちゃんと見れてなかった…。A…無理して笑ってたんやろ？」
『っ…それ、は…。』
…バレちゃった。そんな気持ちだった。
『初兎ちゃんが頑張ってるのに、それだけで、いっぱいいっぱいなのに、私だけ甘えちゃダメだと思って。心配掛けさせちゃ…ダメだと思って…っ。』
ついさっきも泣いてたのに、溢れ出した涙は止まらない。
『ごめんなさいっ…私…』
初兎「俺は謝って欲しいんとちゃうよ。むしろ…俺の方こそ、無理させてごめんな。｣
ごめん。2［Sho］〈短編集〉→←彼らが風邪を引いたら〈反応集〉
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「反応集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Luna@スランプ気味(プロフ) - チエリー・ルミさん» コメントありがとうございます！少しでもお力になれたなら幸いです。こちらこそありがとうございます！ (2023年2月11日 9時) (
レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
Luna@スランプ気味(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます！返信遅くなって申し訳ないです…！ありがたい言葉ありがとうございます！ (2023年2月11日 9時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
チエリー・ルミ(プロフ) - 生きる意味が私ずっと見つからなかったから、すごく泣きました。ありがとうございます。 (2023年2月10日 22時) (レス) @page17 id: 69fefe3a39 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - リクエストではないのですがコメント失礼します。毎日少しずつお気に入りでしおりを挟みながらとてもドキドキして読ませてもらっています！続編もあるみたいなので次も読ませてもらいますね🎵 (2023年1月5日 15時) (レス) id: 766649bc8e (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - まふゆさん» リクエストありがとうございます！はい！了解です！ (2022年4月6日 16時) (レス) id: d192e913df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Luna | 作成日時：2021年11月30日 16時
