・89 ページ45
.
「何て言うか…そういうプレイ?」と東海林さんは首を傾げる。
すると三澄先生は「所長室に縛り方の本があった!」と駆けて行く。
それを聞いた東海林さんが「え!?神倉さんの趣味?それとも中堂さん?」と興味津々に目を輝かせる。
私も2人を追って、所長室に入ると電話が軽快に鳴る。受話器の向こうでは、久部くんがテレビをつけるよう指示を出す。
言われた通り、所長室のテレビをつけると、
あるニュース番組で、SAEGUSAというプロジェクターが発火した事が、今回の火災の原因だという旨を放送していた。
そして、11番と町田さんにあった擦過傷は
消防士が使う、動けない人間を運ぶ為の救助方法、通称 子豚搬送と呼ばれるものだった。
所長室にある本を見ながら、東海林さんとビニール紐で、人形同士を括り付ける。
「出来た!」「擦過傷の位置とぴったりです!」私と東海林さんは歓喜の声を上げながら
ハイタッチする。
「消防局から借りて来ました!」とビル内を勢いよく走り、オフィスに飛び込んできた久部くんの手には、火災現場の写真が握られていた。
夕暮れの赤い日の差す会議室で、その写真を広げ、町田さんの後頭部の骨折は何故できたのかを探していた。
すると三澄先生が、「これじゃない?」と階段の手すりが写った写真を指差す。
「___あとは、その手すりに町田さんの血痕があるかを久部くんと毛利さんが、火災現場に調べに行ってくれてます」
暗い解剖室の施術台に横になっていた先生に、今までの事を報告していた。
月の明かりだけが、僅かに先生の表情を照らす。
先生は「そうか…殺人を隠す為じゃなかったか」と言いながら、ゆっくり状態を起こす。
「先生、13年前の解剖結果を一緒に確認してもらえませんか」
私が尋ねると、先生は施術台を降りて
「言われなくてももうやった」と言いながら解剖室を出る。
「え?」
私は驚きながらも先生について行き、所長室に入る。
先生はテーブルに置かれた段ボールから、当時の鑑定書と傷口のホルマリン漬けを取り出す。
私は鑑定書に羅列された文字を、一言一句見逃さないように、目を見張る。
母の死因は腹部を刺されたことによる
出血性ショック死。
傷口からは、ステンレス包丁の成分である
クロムとニッケルが検出されたとある。
一見すると、普通の鑑定書だった。
すると、先生は毛利さんから昨日受け取った封筒の中から、当時の捜索資料まで私に見せてきた。
.
1221人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青龍 葵(プロフ) - 母親を殺した真犯人は誰なのか…今後の展開、中堂さんと恋人同士になった2人に甘い部分があるのか?とか思いながら更新が待ち遠しいです! (2018年3月20日 6時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - 青龍 葵さん» もう最終回ですね〜終わってしまうのが辛い!小説の方もこれから急展開を迎えますので2人の行く末を見守って頂けたらと思います (2018年3月16日 21時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - いよいよ今日でドラマ最終回!結末がどうなるのか気になりますが小説の最後(完結)も気になります。完結まで、まだまだ先かと思いますが無理のない更新で頑張って下さい! (2018年3月16日 17時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
Soll(ソル)(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。知識の浅い素人の書く文章ですので、これからもそういった点が出てくると思いますが、少しでも楽しんで頂けるよう努力していきます (2018年3月15日 7時) (レス) id: 55764b7fd6 (このIDを非表示/違反報告)
まる - いつも楽しませて頂いてます!差し出がましいことを申しますが、細菌とウイルスは別物です!気にしないで読むつもりだったのですがどうしても気になってしまいコメントしました (2018年3月15日 2時) (レス) id: 8a313f8dce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Soll(ソル) | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/home
作成日時:2018年2月18日 19時