【中堂系】甘く檸檬のようなキスをして２

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翌朝
スナック、麻雀店、占い店、居酒屋の店主については血縁者のDNAから身元が判明し、

久部くんがホワイトボードにまとめた解剖結果の一覧に、判明と赤いペンで記す。



4番7番10番の胃の内容物が、麻雀店の店主と同じものだったため、3人は麻雀店の客という事も分かった。



向島さんがそれをメモしながら、「例のシャツの血は？」と東海林さんに尋ねると

「9番のもので間違いない」と資料を見せながら言う。


11番が9番を殴った時にその血を浴びたのか…


「これ、歯のデンタルデータです」と、私が向島さんにまとめた資料を渡す。


「どうやって調べるんですか？」

「警察が歯科医師会を通じて、現場の近隣にある歯科医院に送って、一枚づつ見てもらうらしい」



久部くんの問いかけに答えると、「アナログですね…」と、驚いていた。


私は辺りをいちべつし、会議室前の茶色いソファに腰掛けていた毛利さんを見つけ、駆け寄った。


「毛利さん、ちょっといいですか」


毛利さんに声を掛け、オフィス前の廊下に出る。


「あの、個人的に毛利さんに頼みたい事があって…」と断られる事を覚悟しながら、話を切り出す。


個人的という言葉に疑問を抱いたのか、毛利さんは首を傾げる。


「なんですか？」

「先日、このラボからご遺体が無断で運び出された件なんですが、警備員に話を聞いたら陽名大の解剖医が来たって聞いて…」


毛利さんは「ああ…」と頷くと腕組みをしながら、私を見下ろす。



「その解剖医は、捜査線にも名前が上がってます」


「もう一度、13年前の事を調べたいんです」


そうすれば、何故陽名大の解剖医が関わっているのかが、分かるかもしれない。

私が見上げると、毛利さんは私が言おうとしている事を瞬時に汲み取る。


「調べるには、当時の解剖結果が必要。でもそれは他の医大にあって、厳重に保管されている。だから警察の力を使って、それを手に入れろ、と？」


「はい。たとえ遺族でも解剖結果の保管室は他のご遺体の情報もあるので、簡単には入れてもらえませんから」


お願いします、と頭を下げると
「今、身元不明の遺体のことで一杯一杯だしな〜」と額に手を当てる。


「忙しいのは重々承知してますが、そこをなんとか」と食い下がると、「ちなみに、その解剖結果のある医大ってどこ？」と訊かれる。




「…日彰医大です」

「なるほどね…」


毛利さんはチラリとオフィスに目をやり、
顎を撫でながら、思考を巡らせていた。



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