【中堂系】甘く檸檬のようなキスをして２

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東海林さんが「マジか…」と一驚している時
三澄先生が、辺りをきょろきょろと見回す。


「…あれ、中堂さんは？」

「そういえば……」



所長室にも見当たらない。ソファにも姿がない。

久部くんに、先生もCTを見たか確認すると


「そうですね、中堂さんも一緒に見てました」と、答えるや否や、ガタッと椅子から立ち上がる。




「私の予想が正しければ、先生は鈴木さんの所じゃないでしょうか」

久部くんが「鈴木さんは葬儀が終わるまで東京にいるらしいです」と言い、つじつまが合ってしまった。


私は三澄先生、久部くんと一緒に
ラボを駆けて行く。




果歩さんの葬儀場に着いた時には、
もう鈴木さんの姿はなく、カーキのジャケットを羽織った先生ただ一人だけだった。




三澄先生が中堂先生に「鈴木さんは？」と訊くと「行った。犯人の所へ」と淡々と答えた。

それを聞いた三澄先生と久部くんは
すぐさま葬儀場の中へ、参列者を掻き分けながら勢いよく走っていく。




その直後、中から参列者の悲鳴が鋭く
会場内に響く。

私も走り出そうと、一歩足を動かすが
何かに後ろから引っ張られているように、動けない。



脳裏で、鈴木さんを止めなくてはという思いと、私に鈴木さんを止める資格はあるのかという思いが、ぶつかり合っていた。



もし、目の前に母を殺したあの人がいたら？

今までの、悲しみ、怒り、全ての感情に身を任せた時、私はどうなってしまうのか。


そんな人間が、「止めろ」と言っても
それは鈴木さんの心に届くのだろうか。


自問自答を繰り返し、足がすくむ。



私が躊躇していると、背後から
先生の声が聞こえる。




「あれはあいつが望んだことだ」


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