君が私の名を呼ぶから

四十捌 ページ49

芦屋が水を買いに出るとAはゆっくり体を起こす
顔は俯いており表情は見えないが気分は良さそうだと、安倍はAに声をかけた

安倍「大丈夫か？今芦屋が水買いに行ってる
もう少し横になってた方が…」

立法「ごめんねAちゃん、気分悪くないかな？
私が介抱してあげ『あぁ…貴方のせいで気分が悪いのか…』……うん？」

立法がAの肩に腕を回しながら話しかけると腕の中の人物からドスの効いたような声が聞こえた

顔を覗き込めば青筋と怒りマークをつけたAが睨み、ユラリと立ち上がる



『毎日毎日、噛まれるし、舐められるし、子供には馬鹿にされるし、
立法さんには遊ばれるし…美味しくない饅頭食べさせられるし……
……一発殴らせて下さい』


立法「アレ？前者は私関係ない気がするんだけど
とりあえずその拳降ろして話し合おうじゃないか』

Aは立法の胸ぐらを掴むと問答無用と言うかの如く拳を振り上げる


慌ててシズクは振り上げている腕を、安倍は身体を引き離そうと止めに入るがビクともしない


安倍「(男女の差はどこ行った！！何つー力なんだよ！！)」


そこに芦屋が戻ってきて今に至る


芦屋「酒乱とか、そんなレベルじゃないですよ！
てか、A力強！」


安倍と二人でAと立法を引き離そうとするが、掴んでいる手は外れない


どうしたものかと考えていると立法から手を離し、Aは床に伏せって笑いだした
お腹を抑え床を叩いている


芦屋「今度は笑い上戸！」

『もう本当馬鹿みたい…あはは、笑い止まんない…ヒッヒック、妖に追われて池に落ちるとかあはははは
本当私なんて……グスっ…ふ、えええん』

安倍「今度は泣上戸かよ！あー悪かった！全て立法が悪い。思う存分殴ってこい」


立法は私のせいかと自分に指をさしている


それでも泣くのを止められないAを安倍は抱きしめモノノケ庵から出る

芦屋も付いて行こうかとするが安倍に静止され二人が消えるのを見送った

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