【名探偵ｺﾅﾝ】私、今日から一般人辞めます

白と黒と灰色と 4 ページ8

優しい笑みで私達の前にアイスティーとオレンジジュースを置く安室さん。
置いた後、軽くお辞儀をする時にさらりと流れる髪。艶やかで、それでいてふわふわしてそうな…。

んぐぅ、可愛すぎる。


「ありがとー！」


そう言ってオレンジジュースを飲み始めるコナン君。
すると、じっと見ているこちらの視線に気がついたのか天使の笑みで此方へ笑いかけた。

あ、こっちも可愛すぎるわ。


「それで、体調の方は大丈夫ですか？」

『あ、はい。お陰様で』


実際は体調不良というか、絶好調すぎて許容値を越えた感じだけど。
先程よりは慣れたのかにやけも収まって、心の中で荒ぶるだけに済んでいる。


「そうですか、ならよかった」


そう言って浮かべた、心配そうな、それでいて儚く作られた笑み。
それが自分に向けられたものだとは到底信じられない程の美しさをまとっていて…。


『……美しいなぁ』

「はい？」


思わず口から本音が溢れてしまったらしく、安室さんがきょとんと目を丸くした。
やばい！心の声は出さないようにしろとあれほど言い聞かせたろ私！


『あ、いえ、なんでもないです！！気にしないでください！別に安室さんの事を言った訳ではなくてですね！』


1度あることは2度ある。
言い終わってからとんでもない失態を犯した事に気がついた。


「ねぇAさん、安室さんの知り合いなの？」


そう言われて、思わず肩が跳び跳ねる。
そうだよ、私、まだ1度も安室さんの名前聞いてない。

顔をあげれば、安室さんも疑いの目をこちらに向けていた。
コナン君も同様に。

えぇ、名前を知ってただけでこんなに疑う！？
いや、知らない人が自分の名前を知ってたら怖いもんね。そりゃそうか。

でも、安室さんってJKの間で有名なんでしょ？
他のお客さんでも名前くらい知ってるのでは？
それだ、それでいこう！


『あれ、安室さんって有名ですよ？喫茶店ポアロで働くイケメン私立探偵、安室透さん。この辺りでは知ってて当然です』


しれーっとそう言うと、安室さんにも心当たりがあるのか軽く苦笑いを溢した。
まぁ、多分、前にも似たようなことがあったんじゃないかな。

その様子を見てコナン君も納得したように呆れ顔でそれ以上はなにも言ってこなかった。


勝った(確信)

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