【名探偵ｺﾅﾝ】私、今日から一般人辞めます

帰ろう ページ47

『遅い、そんな遠くないでしょうに』


向かうと言って約30分後。

もはや待つのも飽きて来た頃に菖蒲はようやく姿を現した。



「ごめんって、ちょっと組織絡みで色々トラブルあってさぁ……すっかり落ち着いたみたいで良かったよ」


『そりゃだって今の流れに乗って早く帰らないと、下手に残ってると怪しまれちゃうでしょ』


「怪しむって、あ、爆弾どうだった？」


『バッチリ全部問題なし。あんな威力の爆弾、よく何個も用意できたね』



素直に褒めれば、調子に乗った菖蒲が高らかに笑う。



「ふふん、裏社会のコードネーム持ちをなめてもらっちゃ困るよ」


『いつか私も口封じに殺されたりしない？』


「うっそ、疑ってるの？」



軽い口調で笑って言い返すと、菖蒲が本気で驚いた顔をした。

でも、そもそも私自身忘れてたがまだ1週間も一緒にいない仲だ。それくらい言ってもいいだろう。


『正直会って5日とかだよ、疑ってもいいでしょ？』


「そうだった。その辺もしっかりすり合わせなきゃね」



言われて思い出したように悩みだす菖蒲にふと疑問が浮かぶ。


『……元々の私はどこに行ったんだろう？』


私がここにいるのだから入れ替わったのだろうか？

この世界で幼少期の私、1年前に来た私、今の私という3人の私が居るはずなわけで。

どこに消えたのだろう。


「あー、それなんだよね。上に確認取りたいけど、正直出来るならやりたくない、なぁ、なんて」


『上って？上司とかいるの？』


「いるよ、神なんてごまんといるんだから」


『なのに誰にも聞きたくないの？』


「いやぁ、僕単体ならまだしも君がいるのバレちゃまずいなぁ」


困ったように苦笑いをする菖蒲。


『え、なんか問題あるの』


「トリップとか本来ルール違反だから……記憶とかリセットして転生が基本中の基本」



衝撃の事実、トリップは駄目なことらしい。

今の言葉、なにか引っかかるような気がするけれど、何に引っかかってるのかが分からない。
分からないいものは考えても仕方ないと考えるのをやめる。



『なんか、のっぴきならない理由があったんだねきっと』


「理解があるようで助かるよー。さ、はやく帰ろう」



伸びをしながら歩き始めた菖蒲の後を追って私も歩き始める。


疲れからかたまにふらつく体。

映画の規模の大きさを身に沁みて感じることができたけど、いや、こんなの何回もやるコナン君はやっぱりすごいや……。

作者から→←夢のままでいてほしい 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す