夢のままでいてほしい 1 ページ45
安室side
「随分とボロボロだことで」
声を掛けられ反射的に振り向く。
目の前には数時間前に別れたばかりのランビック。
相変わらず読めない瞳でこちらを見つめている。
「貴方も来ていたんですね」
「まぁ様子見程度にですけど。あぁ、そういえば潔白の証明されたらしいじゃないですか、おめでたい。やっぱり貴方は白だ」
芝居がかった話し方にこれもわざとだろうと心のなかで悪態をつく。
ランビックとはそれなりに長い付き合いをしている。
だからかもしれない。彼の言葉に疑問を持ったのは。
「前々から少し気になっていたんですけど」
そう話を切り出せばランビックの眉がほんの少し動いた。
貼り付けたような笑顔は崩れない。
言おうとしている言葉がいかに危険な綱渡りか。
やめようとする理性も働くが、そもそもこのランビックという男は僕を撃とうとはしない。
何を言っても殺さないという、絶対的な確信。
その確信が後押しして口を開かせる。
「貴方の言う"白"という単語。我々の思う白とはどうやら違うみたいですね」
彼は何も答えない。何も反応しない。
沈黙が続きを促されてるような気がして、そのまま続ける。
「我々が黒といえば思い浮かべるのは裏切り者。NOC。当然白はその逆。でも貴方は裏切り者を白と呼び、組織のことを黒と呼ぶ。そうでしょう?」
そこまでハッキリと言って、気がつく。
何時も笑顔のランビックが真顔だということに。
空気が冷え込んだ気がして寒気を覚える。
彼を怒らせたという事だろうか。
戸惑う僕を見て、彼は何時もの数段低い声でこちらを睨んだ。
「何が言いたい?」
その口調は敬語ですらなく、些か荒っぽい口調だがどちらかというと此方が素の喋り方なのだろう。
「……お前、僕がNOCなことを知っていたな?昨日今日じゃない、ずっと前から」
此方も少し砕けた喋り方をするとしばらくの沈黙の後にランビックは、はははと乾いた笑いをこぼした。
笑ってはいるが、どこか自虐じみた笑い。
本心から笑っているものなのに、何も含まれない無の笑みだ。
しばらく笑った後に、落ち着いた彼はこちらを見据えて言い放った。
「あぁ、知ってるよ。ずっとずっと前からな」
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白菜(プロフ) - まいさん» もったいないお言葉感謝いたします…!更新の目処がたちましたのでまた徐々に更新していく所存でございます!まだ少しの興味がありましたら見ていただけると幸いです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 世恋さん» ひぇ、更新してなくて誠に申し訳ない限りです。また更新再開していく予定ですのでのんびりお待ちしていただけると嬉しいです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白くて続きが気になります。また更新されるのを楽しみに待ってます(^^) (2019年8月4日 23時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
世恋(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください!! (2019年5月21日 10時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 杏さん» 閲覧有難うございます!文才なんて本当に無いんですが、皆さんにも出来るだけ雰囲気が伝えられるように頑張って書いていますので誉めてもらえて本当に嬉しいです!あむぬいばかりが転売されてる現状がとても悲しいですね… これからもこの作品を宜しくお願い致します! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
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