夢は夢のまま ページ44
無事に止められたことに安堵すると同時に膝から崩れ落ちる。
もう、ほんと。
あんな大人数の命なんて二度と背負いたくない。
過去の私が何を思って関わってこなかったかが、関われば関わるほど顕著に伝わってくるようだ。
そういえば、クレーンが本当に見当たらない。
キュラソーは?助けられた?
今、組織の何かをやってる最中だったらと不安もあるが、どっちにしろ震えで足が動かないのだから帰りようがないと勇気を出して電話をかける。
3コールの後、知った声が返事をした。
「生きてる?」
『一般人目線尊すぎて死んでる』
「良かった無事だ」
そう言って、はははと笑う菖蒲。
今疲れて動けないこと、無事に止められたことを告げ、爆弾の手配に関してのお礼を述べる。
ついでに一緒に帰ることを提案すると意外にも返事は了承だった。
『組織の方は?いいの?』
「僕になーんにも仕事回ってきてないし。任されてないのだから帰って当然だしー?」
『よくその態度でコードネーム貰えたね。そうだ!キュラソー!!キュラソーはどうなったの!?FBIに引き渡せた?』
思い出したように本題に入ると、菖蒲からの返事が無くなる。
待ってよ、返事がなくなるってそんな。
それじゃあ駄目だったって言ってるようなものじゃん。
やがて沈黙に耐えられなくなったのであろう菖蒲が口を開いた。
「キュラソーは、機関銃の丸の当たりどころが悪くて。海に落ちたときにはもう……運命は、大きくは変えられないんだよ」
『そんな、ことって』
受け入れられない現実に視界がぐるぐると回る。
助けられなかった。
みんな救うって夢は、叶えられなかった。
だったら私が来た意味って?私が動く意味って?
私って必要なの?
何も言えなくて、手から力が抜けて、カランと音を立てて落ちるスマホ。
上を向くのも苦しくて、頭が重い。
流石にその音で不味いと察したのか、菖蒲が声を張り上げた。
「そっち向かうから、Aはそこで待っ……その辺のベンチにでも座ってて。いいね?僕は」
途中で急にトーンの下がった菖蒲の声。
低くなった声では耳から離れた距離では聞こえず、慌てて拾うがすでに通話は切られた後だった。
待っててって言われたから、待つか。
そうため息を付きながら、ふらふらと近くのベンチに腰掛けた。
1231人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白菜(プロフ) - まいさん» もったいないお言葉感謝いたします…!更新の目処がたちましたのでまた徐々に更新していく所存でございます!まだ少しの興味がありましたら見ていただけると幸いです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 世恋さん» ひぇ、更新してなくて誠に申し訳ない限りです。また更新再開していく予定ですのでのんびりお待ちしていただけると嬉しいです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白くて続きが気になります。また更新されるのを楽しみに待ってます(^^) (2019年8月4日 23時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
世恋(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください!! (2019年5月21日 10時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 杏さん» 閲覧有難うございます!文才なんて本当に無いんですが、皆さんにも出来るだけ雰囲気が伝えられるように頑張って書いていますので誉めてもらえて本当に嬉しいです!あむぬいばかりが転売されてる現状がとても悲しいですね… これからもこの作品を宜しくお願い致します! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ