【名探偵ｺﾅﾝ】私、今日から一般人辞めます

違和感は募るばかりで 1 ページ41

コナンside

「今の爆発！」

「水族館の前の道が爆発したようだな。丁度、この観覧車が通るであろう道だ」


先頭に向かって走っていた足を止めることなくそう叫ぶと、冷静に先を見ていた赤井さんにそう返される。

これも奴らの仕業か。


「くそ、このままじゃ！」


逸る思いで観覧車を滑り降りる。


危険なことをしている自覚はあるが、そんなことも言っていられない。

当然のように後を追いかけてくれる赤井さんに手を伸ばせば、何も言わなくとも手を掴んでくれた。


数メートル滑り落ちて、水平になった場所に着地する。

無理矢理掴まった反動で赤井さんの手から血が滴る。


後で謝んねぇと。
でも今は！


射出ベルトを巻き付け、ボールを膨らませ始める。


「これなら、どうだ！？」


膨らみ始めるボールを前に、目の前のスタジアムに大勢の人が避難しているのが見えた。


駄目だ、膨らめ！もっと早く！もっと大きく！


そう焦る思いを口にしようとすると同時に、観覧車が大きく揺れる。


「うわっ！？」


落ちそうになる体を間一髪で拾い上げる赤井さん。

素直にお礼を言って柱からスタジアムの方を覗き込むと、もうボールが最大限に膨らんだ後で。

よく見れば観覧車は窪みとボールで凹んだスタジアムの壁とで上手くバランスを取っているようだった。


止まった、のか？


スタジアムは既に避難したのかもぬけの殻で、成功というべき状況のようだ。


「良くやったな、ボウヤ」

「あ……うん」


自分を褒める赤井さんの声もあまり頭に入らない。


あの爆発、組織の奴らの仕業じゃなかったのか？

まるでここに観覧車が来ることを想定したかのような。


誰かを殺すためじゃなくて、守るため？
そんな、幾ら何でも不可能が過ぎる。


じゃあ、一体誰が。


モヤモヤした気持ちを振り払うこともできずに俺は赤井さんに連れられて観覧車を後にした。

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