たとえ敵だとしても 2 ページ38
ふっ、と視界が突然真っ暗になる。
カウントはぴったり5分。予想道理の停電が起きた。
キュラソーが外に出る瞬間を見逃すまいと双眼鏡を構えるが、残念なことにこの双眼鏡にナイトビジョンは付いていない。
『いけると思ってたけど、やっぱり安物は駄目だな』
今度からちゃんと暗視のものも持ってこよう。
これもまた1つの学びだ。学んで強くなればいい。
確か公安の人たちも風見さんにかけてたはずだから、キュラソーはたとえ連絡があっても取ったりしないだろう。
たとえ早めでも、起きてくれさえすれば。
そう確信を持って風見さんに電話をかける。
話し中ではない。ベルモットとの通話は切れてる。
2コール、3コール、4コール。
5コール目で驚いたことに通話が繋がった。
『風見さん!大丈夫ですか!?今すぐそこをはなれ』
「刑事さんならまだ起きてないよ」
私の声を遮るように、予想外の声が響く。
でもよく知る彼の猫なで声ではなく、真剣な声音。
『やぁ、なんでそんなところに居るのかな。コナン君』
つられるように少し低くなる私の声。
そういえばそうだったと自分の記憶力に後悔しながら、話す言葉を厳選する。
コナン君は私を組織の人間と思ってるから少なくとも警戒はされてるだろう。最後の会話、盗聴器越しだし。
「驚いちゃった。刑事さんの電話が鳴ってると思ったら、Aさんの名前が書いてあるんだもん」
『人の携帯勝手に見るのは良くないよ?でもまぁいいか。好都合だし。今すぐその刑事さん起こしてそこを離れてくれない?……死にたくないでしょ?』
電話越しに息を呑むのが伝わってくる。
自分で言いながらこいつ怪しすぎると突っ込みたくなるが、そんなこと言ってる場合じゃない。
少しでも早く、そこを抜けてくれれば。
そう願うのも虚しく、電話の先で大きな振動音が響いた。
コナン君の悲鳴が短く聞こえると同時に強制的に切られる通話。
『……間に合わないか』
仕方ない。
まぁ風見さんは死ぬわけじゃないから後はコナン君に任せよう。
私はここを動けない。
だからキュラソーを、お願い。菖蒲。
私は信じてるから。
祈るように手を握り込んで観覧車を見つめた。
1231人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白菜(プロフ) - まいさん» もったいないお言葉感謝いたします…!更新の目処がたちましたのでまた徐々に更新していく所存でございます!まだ少しの興味がありましたら見ていただけると幸いです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 世恋さん» ひぇ、更新してなくて誠に申し訳ない限りです。また更新再開していく予定ですのでのんびりお待ちしていただけると嬉しいです! (2019年12月31日 3時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - とても面白くて続きが気になります。また更新されるのを楽しみに待ってます(^^) (2019年8月4日 23時) (レス) id: a6e5e5f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
世恋(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください!! (2019年5月21日 10時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 杏さん» 閲覧有難うございます!文才なんて本当に無いんですが、皆さんにも出来るだけ雰囲気が伝えられるように頑張って書いていますので誉めてもらえて本当に嬉しいです!あむぬいばかりが転売されてる現状がとても悲しいですね… これからもこの作品を宜しくお願い致します! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 3f17e2e286 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ