【名探偵ｺﾅﾝ】私、今日から一般人辞めます

それって本当は ページ36

コナンside

なんとか隙をついて観覧車内部に入ったものの、警察に動きが見れない。


キュラソーは何処に行ったんだ？


焦りに背を押され走るが、微かな話し声に慌てて足を止める。


音をたてず近づけばそれは赤井さんの声と、Aさん？


何でこんなところに。



そう思ったが、先日ポアロで交わした会話を思い出す。そうだ、この人は組織の人間と仲のある奴。

ここに居たって何ら不思議はないか。


そう、思っていた。



『……なんだよ。結局私は敵か』



あまりにも消え入りそうな声に思わず耳を澄ませた。

その声音、状況から思わず漏れた本音であるのは間違いないのに言葉の意図、状況が何も読めない。


きっと、赤井さんは聞こえてない。


この暗がりだから口の動きも見えてないだろう。


ここで会うのはまずいと考え、手近な支柱の裏に隠れる。

隠れて様子をうかがえば、視界の端に無数のコードが映った。


あれは、もしかして。爆薬か？



「だとしたら、まずい！」



音を立てないように意識しながら階段を駆け上がる。

何かわからないやり取りをしている彼等も気になるが、今はあっちを確認するのが先だ。


ちらりと振り返って見れば、Aさんの走り去る後ろ姿が鮮明に見えた。


どこに行くつもりだ？


追いたい気持ちと今目の前の危機を天秤にかける。
が、そんなの考えるまでもない。


「っ、今はコードの先を調べないと！」


頭に張り付く彼の声を振り払って、車軸のコードを辿るために再び走り出した。

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