【名探偵ｺﾅﾝ】私、今日から一般人辞めます

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おかしい、なんて問題じゃない。

だってあり得ないだろう。


確かに昨日の夜までは椅子もあったし、こんなに殺風景なリビングじゃなかった。

たった一夜でこんなことが起こりうるか。
泥棒がなにかだとしても、わざわざ1席だけ残す？


『……何がなんだか。ううん、とりあえずお母さんに連絡を取らないと』


慌てて二階へかけあがり、自室にある携帯の電話帳からお母さんの文字を探して電話を掛ける。

2コール流れたあと、ﾌﾞﾂｯと音を立てたかと思うと、耳元で「現在使われておりません」と流れた。

メールアドレスも父の電話番号も同様だ。


う、まぁ、何となくそうなる気はしてたけれど。

何にせよ親に頼ることは出来ないってことだね。


『とりあえず、朝御飯でも食べながらニュースでも見ようかな。なにか情報がつかめるかもしれないし』


自分に言い聞かせるようにそう独り言を呟いてキッチンへ向かう。

適当にパンを焼いて、紅茶をいれ、TVをつけた。

何てことないグルメを紹介するニュースが淡々と流れる。
流れるのは普通のニュースばかり。


何かが起きたとか、失踪したとかそういったニュースが流れる様子はない。

そりゃそうだよね。そんな簡単に物事の結論がわかるわけがないに決まってるよ。

焦ることはないんだから、ゆっくり探せば良いんだ。

動揺する心を押し殺して紅茶を飲み干したコップを持ち上げた時、テレビからあり得ない言葉が綴られた。


「今日の東都のお天気です！━━、━━は晴れのち曇り。米花町は終日曇りの模様です」


米花町。
その単語が耳に入ると同時に手からコップがこぼれ落ちる。

だって、冷静でいられるわけがないよ。

その地名は、その都市名は、本来日本にはないはずのもの。
つまりは


『……そうかぁ、私、トリップしちゃったのかぁ』


カーテン越しに外を仰ぐ。

吹き抜けた風の先で、さっきまで晴れていたはずの空が雲に覆われていた。

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