26話 ページ29
「君、自分の体に四大天司の羽を取り込んだだろう」
報告によれば、ラファエルは羽を奪われたらしい
羽は天司の重要な器官、いわば弱点だ
羽がなければ、天司の力は大幅に弱まり、修復も遅れる
だから今回、空の均衡が大きく崩れたのだ
「報告ではラファエルだけだったが……ミカエルとウリエルのものも取り込んでいるみたいだ。様々な力が入り乱れて、もう獣とも判別がつかない」
「ふふ、ははははは。さすが『知』を司る天司だ。なんでもお見通しなんだ、なッ！」
彼が斬撃を放つ
その力は強い
彼の元からのポテンシャルもあるだろうが、奪った羽の力も大きいだろう
だが、それが私に届くことはない
彼が私に触れることはできない
「言ったでしょう、君では無理だと」
それに彼は特に怒るわけでもなく、剣を収める
無気味な笑みを浮かべる
「今は、ね。けれど残りの天司の羽を奪えば……」
「やめておいたほうがいい。君の器が壊れる」
今でも限界なのだ
これ以上力が増えれば体が耐えられない
次こそ本当に、獣へと成り果てる
「ははは、補佐官サマは優しいな。こんな俺の心配もしてくれるのか」
「……サンダルフォン」
「だけど、どうでもいい。俺の体がどうなろうが、この世界を壊すことができるなら！！！」
彼の瞳は憎しみで染められていた
十中八九、ルシフェルに対してのものだろう
「サンダルフォン、憎しみは何も生まない、こんなことをしても意味はないんだ」
「憎しみは何も生まない？とんだ綺麗事だな。じゃあこの憎しみはどうすればいい？おまえに俺が、救えるのか？」
その言葉に、思わず私は言葉を詰まらせる
私に彼を救うことはできない
私の言葉は彼には届かないし、聞く耳も持たないだろう
ルシフェルの言葉さえ、ちゃんと聞いてくれるのかも怪しい
「『知』を司る天司が聞いて呆れるな。あなたには心底失望したよ」
彼がこの場を去ろうとする
それに気づき、引き留めようとするが、
「じゃあ、サヨナラ」
彼はあっさりと姿を消した
続く (更新停止中)
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
