24話 ページ27
男がフードを取る
そのフードの中身はやはりサンダルフォンだった
あの時と見た目は変わらない
当たり前だ
彼も私と同じ天司なのだから
私たちが老いることはないし、よっぽどのことがなければ死ぬこともない
「……よく俺のことがわかったな。崇高な補佐官様に覚えていてもらえるとは光栄だ」
サンダルフォンが皮肉げに言う
捻くれた性格は今でも変わっていないようだ
むしろ拍車がかかったように思う
どこも変わっている様子はないのに、ひどい違和感を感じる
「随分とルシフェルが入れ込んでいるみたいだったからね」
「それはない。あいつにとって俺は、どうでもいい存在だった」
「そんなことないと思うけどなぁ」
普段の二人の会話を聞いたことがないから詳しくはわからないけど
ルシフェルはサンダルフォンのことを話す時は楽しそうだった
普段は仏頂面なのに、彼のことになると表情が変わる
……少し嫉妬してしまうくらいだ
「ルシフェルは君のことを大切に思っていたよ」
「……なんの役割も持たない、役立たずな俺のことを？そんなこと、あるはずがない」
この子、自己評価低いよなぁ
しかも思い込みが激しい
こういう子には大抵、話が通じない
……こういうのはベリアルが一番得意なんだよなぁ
そんなことを思いながら、私は彼と話を続ける
「なんの役割も持たないって言うけど、君には大切な役割があるでしょう」
彼はルシフェルのスペアだった
ルシフェルになんらかの不備があった時のために造られた天司
言い方は悪いが、ルシフェルの代理みたいなものだ
「あの方は完璧で、俺の助けなど必要ないのに？そんなの役割がないのも同然だ」
彼が諦めたように笑う
その言葉で、私の中で全てが繋がった
「もしかして君、そのことで悩んでたの？」
その言葉に、彼が反応する
目つきが鋭くなる
どうやら私は彼の地雷を踏み抜いてしまったらしい
「誰からも期待されず、必要もされない。俺の気持ちが、わかるか？」
「………」
「わからないだろうな、生まれた時から必要とされていたおまえには！！！誰からも愛されていたおまえには！！わかるはずない！！！」
彼はルシフェルの役に立ちたかったのだ
彼に、必要とされたかったのだ
……そして、許されたいと願っている
「だから俺は、おまえを、あいつを超える力を手に入れる！！こんな世界など、壊してやる！！！」
彼の悲痛な叫びが、蒼い空に響いた
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
