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16話 ページ18

後日、私はベリアルと中庭で紅茶を飲んでいた

今回のお菓子は、彼が持ってきたショートケーキだ

以前から気になっていたものだ
どんな味なのだろうか

それを興味津々に突いていると、彼は私の話をもう一度聞き返した

「新しい天司?」

「ああ、ルシファーに言われてね」

答えながら、私はショートケーキを食べる

程よい甘さだ
これならいくらでも食べられるな

だが、目の前の彼はこの食べ物にも感動は得られていないらしい

というか、彼は食自体に興味がないようだ
何を食べてもこんな反応だ

……そろそろ、彼の好物を見つけてあげたいのだけど

私は続ける

「私の思う最高傑作を造れと言われたが、どうにも思いつかなくてね。何かいい案はあるかな?」

私の問いに、彼の動きが止まる
彼は少し思案した後、答えた

「君が良いと思うものを取り入れればいんじゃないか?」

「良いと思うもの」

「君が美しいと思うものや、興味を惹かれるものとか」

「なるほど……」

その言葉を聞いて、今度は私が思案する
それから私は聞く

「君は、何を美しいと感じる?」

「そうだな……。ルシフェルとかを一般的には美しいと言うんじゃないか?」

君の意見を聞いているんだが
そう思うが、口には出さなかった

言ったところではぐらかされるだろう

私が微妙な顔をすると、彼は不思議そうにこちらを見た

「君は彼を美しいと思ったことはないのかい?」

「まぁ、同じ顔だしなぁ」

私とルシフェルはルシファーをベースとして造られた

確かに彼らは美しいと思うが、そうではないのだ
私の理想ではない

私は言う

「私としては、君の方が美しいように思うけれど」

焦げ茶色のふわふわの髪に、飴玉のような紅い瞳
スッと通った鼻に、形のいい唇

彼はまるで芸術品のような、美しい顔立ちをしている

「は?」

彼は本気で理解できないようで、素っ頓狂な声を上げた
心なしか、頰も赤い

彼の珍しい反応が面白くて、私は笑う
それに彼は少し拗ねたように言う

「君の感性は理解できない」

「感性は人それぞれということさ。私の天司は君をベースにしよう。設計図ができたらまた見せるよ」

「……あまり期待せずに待っておこう」

「酷いなぁ」

私はそう笑って、ケーキの最期の一口を食べた

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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月14日 13時

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