15話 ページ17
中庭から出ると、ルシフェルが外で待っていた
私の姿を見た瞬間、彼はこちらに駆け寄る
「理由はわかったか？」
期待のこもった眼差しで見つめられ、私は苦笑する
「ごめんね、私では役不足だったみたいだ」
私の言葉に、彼は落胆の表情を浮かべる
だがすぐにいつもの無表情に戻り、言った
「そうか……。いや、こちらこそすまない。この日のために色々無理をしていたのだろう？明日はオフにしておこう」
「いいのかい？それは助かる」
「明日はベリアルも休みだ。久しぶりにお茶会を楽しむといい」
「……君は何でも把握してるな」
「天司長だからな」
そういう彼に、私は笑う
それから言った
「サンダルフォンのことだけれど……君は普段から彼に気持ちを伝えているかい？」
「……どういうことだろうか」
「なんというか……君が彼を大切に思う気持ちが、きちんと伝わっていないように思える」
私の言葉を信じれなかったのも、それが原因だろう
彼はルシフェルからは必要とされていないと思い込んでいるように見える
……彼は何も言ってくれなかったので、これは憶測なのだが
「きちんと伝えるには、どうすればいいのだろうか」
「どうするも何も、素直に彼が大切だと言えばいい」
「……それは、必要なことなのか？」
彼の言葉に、私は溜息を吐く
そうだ、彼はこういう方面に関してはポンコツだった
というか、私の周りの人達はこういう方面ではひどく不器用だ
ルシファー曰く、私は他の天司より人間寄りに造ったらしい
そのせいか、彼らとは意見が食い違うことがよくある
私は言う
「君は合理的すぎるんだ。もう少し、自分の感情に素直になった方がいい」
「だが、私は物事を平等に推し量らなければならない」
「それは仕事の話だろう」
私の言葉に、彼は考え込む
人の気持ちに、理解が追いついていないのだ
他のことは完璧なのになぁ
たまに私の方がおかしいのかと思うが、今回はきっぱりと言わせてもらう
「素直に気持ちは伝えた方がいい。そうしないときっと、後悔する」
「……わかった、肝に銘じよう」
そして彼は中庭へと入っていく
私はその背中を見送る
……本当にわかっているのだろうか
不安に思いながらも研究所を後にした
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
