14話 ページ16
「とりあえず自己紹介をしようか。初めまして、私の名前はA。君とお話しに来たんだ」
そう言って目の前に座る青年、サンダルフォンに微笑みかける
彼は怯えた様子で、こちらを伺っている
人見知りなのだろうか
ルシフェル以外とろくに話したことがないのだろう
彼はずっと、この研究所に閉じ込められている
「話……？」
「ああ、ルシフェルから相談を受けてね。君が何か塞ぎ込んでいるようだから、力になってほしいと」
「……余計なお世話だ」
彼は吐き捨てるように、そう言う
私はそれにへらりと笑う
「彼にとって、君は大切な存在みたいだからね。助けたいと思うのは自然なことじゃないかな」
「あの人は誰に対してもそうだろう」
「けれど、君に冷たくされて落ち込んでいるようだったよ。どうにかしたいと、相談してきた」
「嘘だ」
「本当のことだよ」
私の言葉に、彼はこちらを睨みつける
威嚇する猫のようだ
そんな顔されたって、怖くもなんともないのだけど
「で、君は結局、何に悩んでいるんだい？」
「初対面のやつに話すわけないだろ」
「吐き出すと楽になるよ」
「だから、余計なお世話だ」
彼はそう言って、そっぽを向く
これは強敵だ
彼は頑なに悩みを話そうとしない
「言いたくないのかい？」
「………」
「私やルシフェルは全知全能の神様じゃないんだ。言葉にしてくれないと、わからない」
「わからなくていい」
「それなら何故ルシフェルに辛く当たる？自分のことを気にかけてほしいからじゃないのか？」
「違う！！」
彼は声を荒げ、こちらを睨む
その瞳には涙の膜が張っていた
私は言う
「……君は何をそんなに怯えている？」
「俺、は」
彼は震える声で何か言おうとして、口を閉じる
そのまま黙り込んでしまう
やはり私では役不足らしい
これ以上聞くのは酷だろうか
そう思い、私は立ち上がる
「すまないね、君には酷なことを聞いた」
彼はゆるゆると首を横に振る
攻撃的な物言いだったが、元は優しいのだろう
私は続ける
「けれど、ルシフェルが君のことを大事に思っているというのは本当だ。それだけはわかってほしい」
彼は俯いたまま、動かない
それに私は苦笑し、彼の頭を軽く撫でた
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
