不運大魔王の幸運な弟 にぃ

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兄さんが実習に行って、一週間が経った。


今日が帰ってくる日。


A「土井先生......」


くいくいと土井先生の服の裾を引っ張った。


土井「うん？どうした？」


A「兄さん、帰ってきましたか？」


土井「ああ、Aたちが実技で裏山に行ってる間に帰ってきたよ」


A「そうですか......」


兄さんに会いたい。


でも兄さんは疲れてるから.....僕が行ったら迷惑になる.....


我慢、した方がいいよね.....


土井「A」


A「？」


土井「私にはよく分からないが.....私は、疲れてる時にきり丸が来ると嬉しいよ」


A「！」


土井「例えそれが、大した意味がなくても、アルバイトの手伝いでも、きり丸が来ただけで、私は疲れが飛ぶな」


A「.......」


兄さんも、僕が行ったら、喜んでくれるだろうか......


分からない。

不安だ。


土井「Aは、考えるより動くタイプだろう？そんなに重く考える必要は無いと思うよ」


A「でも......」


一週間も実習だったわけだし......

普通の実習より、かなり疲れたはず。


僕がわがまま言って、兄さんを困らせたくない。


A「せんせ......」


土井「伊作は今、一年長屋を歩いている。行ってご覧」


A「......ｺｸｯ」


小さく頷いて、兄さんの元へ向かった。



土井「Aに会いたくて歩いていることは、言わなくてよかった」



本当に、似た者兄弟だ。


そう思った。

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