不運大魔王の幸運な弟 にぃ

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その日の練習が終わり、僕は裏山へ向かった。


衣装着たまんま。


ちょっと練習しようかなって。


A「僕はあなたを愛している.....でも、物語の結末は、変えられない....」


この物語の最大のミソは、きっと、僕たちの悲しげな演技。


これが結構難しい.....


A「赤ずきん.....」


僕がやるオオカミ役と兵太夫のやる赤ずきん役。

主に大きな木を挟んで、ほとんどの物語を進める。


最後の最後で、僕と赤ずきんは出会う。


まあ僕は、殺されちゃうんだけどね。


A「.......はぁ」


悲しい演技って、結構難しい。


どうするのが正しいのだろうか......


A「うーん.....」


竹谷「オオカミ？」


A「？」


後ろから声をかけられ、くるりと振り向いた。


A「竹谷先輩？」


竹谷「！Aか.....随分不思議な服を着てるんだ な」


A「劇の役の衣装です。元ネタが南蛮のものなので、南蛮の衣装なんです」


竹谷「ほー、かわいいなぁ」


A「そう、ですか......竹谷先輩は、どんな物語をやるんですか？」


竹谷「妖怪を元にした、物語を作ってるんだ。Aたちは？」


A「僕たちは、赤ずきんを元にしてお話を作ってます」


竹谷「だからオオカミなのか！主役？」


A「た、ぶん.....」


竹谷「すごいな！」


A「あ、ありがとうございます.....」




竹谷先輩とは、あまり話したことないけど.....


太陽みたいな明るさを持ってる人だなぁ......

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