ベランダの恋＿2

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仕事を終えて家に帰ってくるとすぐ
ドアのチャイムが鳴った。


開けると北山さんが立ってて

｢おかえり｣って言って優しく笑った。




｢Aちゃんが帰ってくるの
聞こえたから来ちゃった〜｣


ゆるゆると笑いながら、あがってもいい？
って聞いてくるからどうぞと部屋へ通した。






｢なんにしましょうか？今日は｣

｢ん〜、そうだねぇ。
和食でさっぱりいきたい気分かも｣

｢おぉ〜。
レベルの高いリクエストですね！(笑)｣

｢そう？(笑)とりあえず買い物行こうよ。
難しかったら出来合いとかでもいいし｣





北山さんと会話しながら
買い物用のミニバックにお財布とかを移し替えているとポケットに入れていたスマホが震えていることに気がついた。



振動が長いから電話？





取り出して表示されている名前を見て驚いた。






だって画面には“裕太”って。





震えるスマホを見つめて固まっていると、
後ろから北山さんがどした？って覗いてきた。








｢．．．．．出ないの？｣




裕太からって分かって聞いてくる北山さん。




どうしようかと迷っていると
着信は切れてしまった。





｢．．．切れちゃいました。｣




あはは。って愛想笑いにも程があるくらい
引きつった笑いをすると
後ろにいた北山さんは私をきゅっと抱きしめてきた。






｢嘘つけ。
ほんとは出たくてたまんなかったくせに｣


｢．．きたやまさん、｣


｢それとも俺がいるから出れなかった？｣




違うよ。


裕太になんて言われるのか怖くて
出られなかっただけ。



そう言おうとすると
また手の中のスマホが震えだした。






｢．．．出てあげなよ｣




するり、と腕を解かれて
北山さんは玄関の方へ離れていってしまった。




北山さんのせいじゃないのに。








なおも震え続けるスマホに
緊張するけど意を決して画面をスライドさせて耳にあてた。





｢．．．はい。｣



だけどスピーカーの向こうからは
裕太の声は全く聞こえてこない。






｢．．．もしもし。 裕太？｣






何度か呼びかけてみたけど
応答は何一つない。




1度切ってもう一度かけ直してみたけど
先程と全くおなじで何一つ返答は帰ってこなかった。




嫌な予感がしてすぐ裕太にLINEを送ってみるけど既読はつかない。

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