ベランダの恋＿2

85 ページ35

＿

北山side



ふにゃんふにゃんのAちゃんを抱き上げて後ろのベットへ寝かした。


お酒のせいでほんのりピンクに染まった頬をもう一度撫でてあげると気持ちよさそうに寝息を立て始める。

そのまま、むにって掴んでも全然起きない。



｢....ふっ(笑)｣



赤ちゃんみたいに無防備すぎる寝顔に
思わず笑った。




さすがに泥酔してる子を抱く気はない。


正直さっきのキスに応えだしてくれた時は、
このままいただいちゃおうとか少しだけ思ったんだけどさ。



Aちゃんにそんな軽率なことできない。



だって、こんなになるぐらい一途に
まだ玉ちゃんの事が好きだし。






....羨ましい。




こんなにも相手をまっすぐに想えることも、
想われている玉ちゃんのことも。




Aちゃんの想う人が玉ちゃんじゃなくて
俺だったらよかったのに。




そしたらこの腐った疑似恋愛のループから
抜け出せる気がするから。




恋愛お休み中とか可愛く言ったけど、
本当は傷つくのが怖いだけなんだ。


だから予防線を張ってバリアする。





…俺だって真っ当に幸せになりたいよ。








布団を掛けてあげると、
寒いのか横向きになって小さく丸まった。



そんなAちゃんの隣に
自分も横になって優しく引き寄せて抱きしめた。



心地よい温もりに胸が少し痛くなった。


自分が何を欲しているのか
明確に分かってしまうから...。




相手に愛される安心感。

ちゃんとホンモノを実感したいんだ。








Aちゃん、

もし次に好きになる人が俺だったら、
玉ちゃんと同じように全身全霊をかけて俺を必要としてくれる？

86→←84

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す