ベランダの恋＿2

80 ページ30

＿


｢で？Aちゃんの方はどうなの？｣


自分のターンが終わったとばかりに
北山さんが机に両腕を乗せて身を乗り出すようにして聞いてくる。


｢Aちゃん聞き上手だから色々話しすぎちゃった(笑)
あれから玉ちゃんとはどう？｣

｢あれから、ですね....｣



裕太に誰が好きなのと聞かれたけど
あなただよと言えなかった事。

本当は言いたかったのに勇気が出なかった事。

裕太の様子もいつもと違ったから
いつまでもハッキリしない私にいい加減愛想が尽きたんだと思うって事。



北山さんはしっかり相槌打ってくれながら
うん、うん、って私の目を見て聞いてくれるから私こそ色々話しすぎちゃった。

前の職場で起こったことも打ち明けて。



北山さんこそ聞き上手だと思った。





｢....ありがと。話してくれて｣

｢すみません、長々と…。
中々誰かに聞いてもらうことなかったので｣

｢んーん。
こっちこそなんか簡単に聞いちゃってごめん
辛かったな、色々｣



そう言ってくれる北山さんの顔がとびきり優しくて、油断したら泣いてしまいそうになった。

から、それを吹き飛ばすように
ふるふると首を振った。



｢素直じゃないなー、Aちゃんって｣

｢...ひねくれてるんですよね、私｣

｢ははっ(笑)そんなことないよ
真面目すぎて不器用なだけじゃん。可愛いよ｣


ニコッと笑った北山さんは
メニューを手に取って


｢デザートなんにする？
これオススメって言ってたよ｣


そう言ってはちみつアイスの乗った
フレンチトーストを指さした。

81→←79

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す