ベランダの恋＿2

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月曜日、
仕事から帰ってくると
北山さんがベランダで一服中だったのが見えた。

エレベーターで上がって、
一旦家に帰ってからある物を持って私もベランダへ出た。



｢おかえりー｣

｢ただいまです。
北山さん、きゅうりできましたよ！｣


ほら！って見せると
煙草片手に数秒止まった北山さんは
フフフフッて笑いだした。



｢えっ、…なんで笑います？｣

｢ん？いや、
すっげー自信満々に見せてくるからさ｣


クスクス笑って、
もう一度煙草に口を付けると灰皿でもみ消した。



｢はい｣

｢へ？｣


はい、と言いながら
私の方へ伸びてくる北山さんの手。


｢予約したんですけど？それ｣

｢あ、はい、どうぞ｣


ほんとに貰ってくれるんだ。

あんなにお高いチョコレートもらったのに、
私からあげるのが自家栽培のきゅうり(しかも1本)とか…。


｢んはは、確かにデカいわ｣

｢そうなんですよ。なぜかその1本だけ｣


手に持ったきゅうりをじーっと見たあと、
いきなりそれに齧りついた北山さん。

ザクっていい歯ごたえの音。

｢んー、やっぱ冷やした方が良かったかー｣

なんて言いながらボリボリ食べてる。


ベランダで隣の北山さんが
きゅうり食べてるのを見てるって言うすごい不思議な光景なんだけど(笑)。


｢でもウマい｣


すごい早さで食べ終わった北山さん。



｢やべ。めっっちゃ腹減ったーー｣

そう言って、
チラってこっち見てくる。


｢ですね。
晩ご飯どうしようかな｣

そう言うと、

｢お鍋なんてどうですか？｣

｢いいですねー。
ちょっと肌寒くなってきましたもんね｣

｢よーし、決まり｣

｢へ？｣


北山さんの方を見た時には、
もう既にベランダにはいなくて。


あれ？と思った次の瞬間には
家のチャイムが鳴っていた。

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