微熱

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次の日も、その次の日も。

二階堂くんは保健室に来る。


初めて二階堂くんが保健室に来たのは、
確か入学したばかりの4月だった。




｢頭痛い。熱あるかも｣


まだ幼くて、眉毛もこーんな細くて。

八重歯が特徴的な少年だった。



体温計を渡すと、返ってきた目盛りは36.9℃。





｢んー、微熱ってとこかな。少し休んでみる？｣

｢うん｣

｢あと、頭痛するなら痛み止め飲んでおく？｣

｢うん｣



1時間程寝たら、
体温も頭痛も落ち着いて教室に帰って行ったんだ。




あの日から2年経って、二階堂くんは3年生だ。





何故だか保健室を気に入って、
今ではサボりの常習犯と化してしまった。



昔は素直だったのにな。




｢二階堂くん、｣

｢うるせ｣



今では返事すら、まともにしてくれない。



難しい時期だから、
私からはあえて何も言わないけど。



サボりが日常化しちゃったのも
私の責任でもあるわけで。




私も結構頭を悩ませている。






･






週末、やっと開かれた歓迎会。


掘りごたつの居酒屋さんで、
大きな机に先生達がずらって座ってる。


一応毎年呼んでくれるので、
一次会だけ参加してるんだけど。


やっぱりメインで話すのは教師のみなさん達だから、一番隅に座って隣の先生と話しながら大人しくビールを飲んでいた。


歳が離れてる教頭先生や、主任の先生にまでも可愛がられてる北山先生はあっちやこっちに顔を向けてニコニコ笑っている。



二階堂くんは、
北山先生のどこが嫌なんだろう。


こんなに、良心の塊みたいな笑顔。

生徒のことだって、大事に考えてるのに。






色々考えてたら、
じーって北山先生の事見ちゃってたみたいで。


バチって目が合ってしまう。






長机を挟んで、少し距離があったから

“ん？”

って、眉を上げてリアクションしてくれて。






咄嗟に、

“ううん”

って首を振るしかできなかった。

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