微熱

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＿


もう一度水をくんで、
ベットの横の椅子の上に薬とコップを置いて足早に離れてカーテンを閉めた。



…二階堂くんも、私も、何も話さない。







･





3限目が終わるチャイムが鳴ると
珍しく自分からカーテンを開けて二階堂くんが起きてきた。




｢…戻れそう？｣


私の問いに頷く二階堂くん。



｢良かった。…頑張って｣



そう言うと、スタスタと歩く足が止まった。


と思ったら、
くるっとこちらを向き直ってガバッと頭を下げた。




｢…さっきはごめんなさい｣


｢え……あ、うん｣


｢学校でこういうことしたら、困るよね｣


コクコクと小さく頷くしかなくて。







｢土曜日｣


｢え？｣


｢〇〇駅で待ってる｣


｢ちょっと、なんて？｣


｢13時に。来るまで一生そこにいるから｣


｢え、ちょっと待って、二階堂くんっ、｣



私の呼び止めを無視して
スタスタ出て行く二階堂くん。

入れ違いで他の生徒が入ってきたから
その子に対応するしかなくて。






それからその週は
二階堂くんは保健室に来ないまま土曜日になってしまった。





〇〇駅って…。


ここからは結構遠い場所。




“来るまで一生そこにいるから”




二階堂くんなら、やりかねなくて恐ろしい。



何回も北山先生に相談しようかと迷ったけど、
少しデリケートな問題だなって思って。


それになんて言ったらいいか分からない。



二階堂くんがどうして私に
こういう事してくるのかも分からないし。


もしかしたら、
…好意を持ってくれているのかもしれないけど。



直接言われた訳ではないし、
なのにそれを自分から相談するってかなり自惚れてるって思われるよね。





＿＿＿チッチッチッ…



時間だけが過ぎていく。



すごく迷ったけど、
また学校であんな事されては困るし。



ちゃんと話もしたかったから
二階堂くんに言われた場所へ行く事にした。

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