微熱

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＿


｢抱きしめられたら普通意識しない？｣


｢…何言ってるの、二階堂くん｣


｢分かってるでしょ？意味｣



ベットに座ってる二階堂くんは、
立ったままの私の手を掴んで見上げてくる。




｢…離そう、手｣


｢やだよ。先生逃げるもん｣


｢二階堂くん、ここ学校｣




休み時間、
他の生徒が話す声とか、移動する足音とか
窓の外のグランドには次の授業の準備をしている先生の声が聞こえる。




｢そんなの知ってる｣




腕を引いても、全然離そうとしてくれなくて。

カーテンも閉めてないこの空間が
誰かに見られたらどうしようって心拍数が早くなっていく。






｢ね、本当に離して｣


｢じゃあちゃんと俺のこと見てよ｣


｢二階堂くん、｣


｢わざと気づかないフリすんのやめてって｣


｢だめだから、本当に｣


｢先生、｣






ガラガラッ＿＿＿





｢…二階堂？｣




北山先生がそこに立ってた。




戸が開く音がして
勢いよく手を振ったからカラン、と紙コップは床に転がって水が零れている。





｢………ごめん、落としちゃった｣



何も無かった様に作り笑いして、
雑巾をとりに二階堂くんの前から離れた。




｢…授業の合間に教室行ったら
ココだって聞いたから。具合悪いのか？｣


｢頭痛。薬飲んで寝たら戻る｣


｢…そうか。ま、無理すんなよ｣




少し離れて
北山先生と二階堂くんの会話が聞こえる。




｢雑巾これ？｣


と思ったらすぐ後ろから北山先生の声がして。



｢あ、はい、｣


持ってた雑巾をパッと取られて、
ゴシゴシと少し雑に零れた水を拭いてくれた。





｢すみません、後やりますから｣

｢ん、じゃあ二階堂よろしくお願いします｣



腕時計を見て、
やべって言いながら足早に保健室を去った北山先生。

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