微熱

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キーボードを打ってると、
目の前のグラウンドから生徒達の声に混ざって時折響く大きな声。

ちら、と目線をノートパソコンから上げると
やっぱり北山先生で。


生徒達と一緒に50m走のタイムを測るみたいで、笛の音と同時に10人程走り出した。

結果は3着だったけど、ゴールした瞬間に生徒たちはみんな盛り上がって北山先生もすごく楽しそうに笑ってた。




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一限が終わるチャイムが鳴るから、
寝ている二階堂くんを起こす。



｢二階堂くん、教室戻ろう｣

｢んー、分かってる｣

｢北山先生来るよ｣



北山先生に対して、
かなり攻撃的な態度をとるから
できればすれ違わずに教室に戻って欲しいな、なんて。



大きな欠伸して伸びをした後、
上履きを履いてるとガラっと保健室の扉が開かれた。




｢二階堂ー、起きろー｣


私と目が合うと、
軽くぺこって頭を下げる北山先生。

半袖Tシャツに、ジャージのズボンを履いて
ちょっと汗かいてる。


｢戻るぞ、教室｣

｢分かってるわ｣

｢千賀寂しがってんぞ〜｣


嫌がる二階堂くんの肩に腕を回して、
触んな、って反抗する二階堂くんを無理やり連れていった北山先生。


保健室を出る時に短くアイコンタクトして、
またぺこってお辞儀して出ていった。







･






お昼になって、
保健室でお弁当を食べていると
コンコンてドアをノックする音。


｢どうぞー｣


声を掛けると、入ってきたのは北山先生で。



｢あ、食事中にすいません｣

｢いえ、どうかしました？｣

｢ちょっと二階堂のことで、相談が…｣

｢こっちどうぞ？｣


食べかけのお弁当に蓋を乗せて、
部屋の真ん中にある小さな机にある椅子を引く。


｢いや、食べながらでいいっすよ｣

｢そう、ですか…？｣

｢はい、気にせずどーぞ｣

｢じゃあ、お言葉に甘えます(笑)｣

｢んはは、どうぞ。あ、これ飲みます？｣


いつの間にか教卓の隣まで来てた北山先生は、
缶コーヒーを差し出してくる。

｢こっち？｣

って、微糖の方を差し出してくるから

｢ありがとうございます｣

って受け取った。




北山先生は、
さっき私がひいたパイプ椅子を引きずって、
そのまま教卓の隣に座った。


プシュ、ってコーヒーを開ける北山先生。




｢なんか言ってます？二階堂｣

｢二階堂くんのサボり癖って、
1年の時からなんです｣

｢え、そうなんすか？｣

｢はい、
だから北山先生のせいじゃないと思いますよ｣

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