微熱

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北山先生と話しながら、駅をめざして歩く。


賑やかな繁華街に差し掛かると、
飲み屋さんの前で盛り上がってる若者の集団がいて。


そういえば、二階堂くんの働いてたBARもこの向こう側辺りだったよなって思いながら横を向いて歩いていると、



｢お……っと、｣



急に飛び出て来た集団の1人にぶつかりそうになって、北山先生にグイって引き寄せられた。


なんの迷いもなく、
私の腰に手を添えてる北山先生。





｢大丈夫？｣

｢…はい、すみません｣




ぱって手を離してくれたけど。


北山先生のせいで、また顔が熱くなりそう。





恥ずかしくて、
北山先生の方を向けずに前を見ながら駅に差し掛かると正面から私の視界に入ってきたのは…




｢二階堂？｣



北山先生が声を出すと、
二階堂くんも立ち止まって私と北山先生を交互に見た。




｢この時間にここにいるって事は、
お前まだバイト辞めてねぇだろ｣

｢……ちげーし｣

｢じゃあなんだ、夜遊びか？
どっちにしろ時間的にもアウトだな｣

｢おい、なんだよ｣


がっしり二階堂くんの首に腕を回して
捕獲する北山先生。


｢強制送還〜。
見つかったのが俺とA先生でよかったな｣

｢はぁ？つかいきなり休めねぇし｣

｢分かった。俺が店長やらに話つけとく。
んで今日を持って辞めさせてもらってくるわ｣

｢勝手なことすんなよっ｣

｢二階堂…、
お前謹慎になった時の課題の量知ってる？
ハンパねぇぞ。
1週間家から出れねーし最悪だかんな？｣

｢………わかったよ｣


観念した二階堂くんが折れて、
少しだけ大人しくなった。



｢A先生、
二階堂のこと送ってもらっていいですか？
親御さんには俺から連絡入れておくんで｣


これで、って二階堂くんに背を向けてお札を私のカバンに突っ込んでくる。



｢えっ、私もそれくらい出せますし、｣

｢いーから。
そのままA先生も家までタクシー使って｣


心配だから、って。





｢…わかりました。｣

｢ん。次はちゃんと送ってく｣



小さくそう言って、二階堂くんに振り返る。




｢二階堂ー。
A先生に送って貰って｣

とりあえず俺バイト先行ってきますわ、って。



｢母ちゃんには連絡入れとくから。
とりあえず今日は遅いから明日ちゃんと話そう｣

｢…おう｣

｢おう、じゃなくてはいだろー？｣


頭をクシャクシャって雑に撫でて、
明日ちゃんと学校来いよ？って行ってしまった。

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