微熱

15 ページ15

＿


｢マジだって、ほんとに！｣

｢ふふふふ、それ絶対盛ってますよね？｣




前居た学校の面白い先生の話とか、
今はサウナにハマってて、
正しいサウナの入り方からヌシがいる話とか、
地元の友達の話とか。


北山先生はいろんな話をしてくれて、
正直初めて2人になるし男の人だし話す事無くなったら気まずいかもなんて考えてたけどそんな心配いらなかった。


お酒が入ってるからっていうのもあるけど、
それ以前に北山先生が話しやすい空気作りをしてくれてるからなんだと思う。




たくさん食べて、たくさん笑って。



食後に、北山先生が
これ絶対ウマいから頼んで！ってほぼ強引にシャーベットまで頼んじゃって。(笑)


待ってる間に、絶対笑いすぎでアイメイク滲んでそうだなーって思って断って御手洗へ。





軽く化粧直しして席に戻ると、


｢ね、見て見て｣


って呼ばれるから、
北山先生の座ってる方へ近づく。




｢ほら、これさっき言ってたヤツ｣

｢えー、ほんとだ、横尾先生だ｣




さっき話してた会話の続きで、
私が前居た学校の先生が共通の知り合いだったみたいで北山先生がスマホで写真を見せてくれた。




｢横尾さんの歌聞いたことある？｣

｢ないです。上手いんですか？｣

｢んーん、くっっそヘタなの(笑)｣



スライドしてくと、
カラオケで熱唱する横尾先生がいて(笑)


私は立ったまま、
2人で北山先生のスマホの画面を覗いてると
お待たせしましたー、って店員さんがシャーベットを持ってきた。



あ、と思ってさっきまで座ってた方へ行こうとしたら北山先生に引っ張られたからストンと隣へ座ってしまった。



店員さんが、
シャーベットを置き終えて戻っていく。




｢あ、ごめん。人来たから｣


はい、食べな？って
お皿を私の方へスーって移動させる。



…ここで？




っていうか。


｢あれ、1個しか頼まなかったんですか？｣

｢うん。A先生が食べてよ｣

｢なんか、
私だけって食べにくいじゃないですか｣

｢いいよ。俺、1個はいらないし｣


甘いのあんまりって、さっき言ってたっけ。


でも、これ美味しいよって言ってたよね。

じゃあ…



｢…ひとくち食べますか？｣

｢えっ？いいの？｣


スプーン、もう一個貰いますねって言おうとしたら私が持ってたスプーンで掬ってぱくっとシャーベットを頬張った北山先生。



｢うん、さっぱりすんね｣


はい、ってスプーン返されて。


これは……どうしたらいいのかな。

16→←14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す