【刀剣乱舞】政府から審神者に人事異動することになった (ページ46)

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４５話ページ46

振り下ろされた刀は、アタシの眼前でピタリと止まった。肝が冷えたな…思わず小さく息が漏れる。

チラリと視線を刃先からお小夜の顔のほうへと向ける…と、お小夜は驚いたように目を見開いて声のした方を呆然と見ていた。

アタシもそれに倣って声のした方へと視線を向ける…はずだったンだが、お小夜が上に載っている状態で、しかも今頭を向けている方向から声が聞こえるとなると目だけ其方に向けるのは大分難しい問題だ。

……あ～…き、らめよ。ウン

「おー…っ、こりゃ間一髪。随分無様な格好だな、審神者。例えば…そう、俺の作った落とし穴に引っかかった長谷部みたいに髪の毛がぐちゃぐちゃだぜ」

「…相変わらず、お前サンッて刀剣は…どこもかしこも悪戯好きだねェ？後で長谷部に謝ってきな、居るんだろう？此の本丸にゃ…えぇ？鶴丸」

「おいおい、俺の事は良いだろうに。今はこっちだろうが」

けらけらと笑いながら告げられた言葉に、此方も何とかことばを返した。声の主は鶴丸国永…先ほどチラリと見つけて彼に向かって口パクで言った言葉、それは

『江雪左文字を連れてきてくれ』

と。大分激しく動いていたし、ほんの一瞬のようでしかなかったから…不安要素は多かったもンだけどねェ

そこは刀剣ならでは、もともと戦闘での剣筋を見極めることに長けているからか否か…理解してくれて助かった。

まァ、なんとか返した言葉も呆れたような声とあからさまな大きなため息をこぼされてしまったのだけれど。アタシ自身も、思わず息を詰まらせた。

「お小夜…ッ！」
「こ、うせつ…にい、さま…？」

江雪の悲しそうな声が響いて、廊下を小走りする音がこちらに向かってくる。…と、同時に顔の近くで停止したままの刀が小刻み震え始めてぎょっとした

このままお小夜が手の力が抜けてしまって刀を落としたら、アタシはまず間違いなくこの世にいることはできないだろう…

「…っお、お小夜、取り敢えず離れましょう。僕と一緒にとりあえず江雪兄さんの方に…」

アタシの顔色が少しばかり青くなっていることに気付いたのか、近くに寄ってきてくれていた宗三はひょい、とお小夜をアタシの上から持ち上げて江雪の元へと向かっていった。
もともと宗三は江雪に会いたがっていたみたいだし…お小夜は少し警戒せにゃならんだろうが…ね。

よい、とどうにか立ち上がってはスーツに微かに付いた汚れをはらう。すれ違う時に合った宗三の瞳は、何処か申し訳なさそうだった。