【刀剣乱舞】政府から審神者に人事異動することになった (ページ45)

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４４話ページ45

手は出せない…此処で出しちまえばお小夜に警戒心をさらに植え付けてしまうこととなる。それだけはいけない…！

宗三の静止の声も聞かず、だッとこちらに駆け出してくるお小夜の手には自身、つまりは小夜左文字の名の短刀だ。
日の光を受けてきらりと光る刃に一瞬目を細めた。お小夜の動きは素早い。短刀ゆえに切り返しも上手く行くことだろう…さて、どう…しようか…！

「死んでよ」

無常に冷たい声色で短刀がアタシのすれすれを通っていく。

「残念だが…アタシもアタシで…ッ死ぬわけにゃいかないンでね！」

ひたすら後退して、避けて、反撃はできないのが辛い…！お小夜の太刀筋はすべてアタシの急所を確実に狙ってきている。心臓、眉間…そして首元…

避けるのは得意、とも言えない普通位だ。何より博多を守った勲章、背中の治りかけの傷と包帯が動きの邪魔をしてきて、うまく避けられない場面も多々あるものだ…ほんの数センチ、髪の毛が廊下に散らばった。

宗三に視線を一瞬向ければ、実の弟を力ずくで止めるわけにもいかず…かといってアタシを助けようにもお小夜をどうして止めるか…で動けないようだ。眉を八の字に曲げ、目をかるく見開いた状態で静止してしまっていた

「なんで避けるの…？ほら、僕の刃受け止めてよ…！」
「うォッ…！？ッたぶな…！」

今少しでも遅く視線を小夜に戻していなければ確実にアタシの首に短刀がぶっ刺さってた…何もできない、避けることしかできない歯がゆさから、ギリリと歯ぎしりをする。
途端、目の端に入ったある人物に、アタシはハッとした。

ソイツも、アタシと目が合ったことにビクリと肩を揺らしていた…が、アタシが口パクで物事を伝えれば、数瞬迷った後、小さく頷いて廊下を駆けていく。

が、その一瞬。足払いを駆けられてアタシはどす、としりもちをついた。そもそも滑るニーハイでここまで機敏に動けていることも大分奇跡なのだが…

「今…誰か居た…？まぁ、殺してしまえば関係はないよ…」
「お小夜ッ…！」

倒れこんだアタシに、今は好機、とでも言いたげに馬乗りになって刃を構え、突き刺そうとする小夜。その様子をみて今にも泣きそうな顔でこちらに向かって走り、手を伸ばす宗三に……

「ったく、義理も何もないのに言うことを聞いたこと、感謝してほしいものだ、審神者！俺が若し、お前の伝言を理解できなかったら…まぁいい、退屈しなさそうだしな。ほら、ご所望の『江雪左文字』、連れてきたぞ！」