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昔。
1人だけ、大事に思った人がいた。
最初はただのクラスメイトで、薄い桜色の髪が奇麗で、たまに、なんとなく目で追うことがあった子だった。
小学校を卒業する少し前くらいに「ツガイになってくれ」とか意味の分からないことを言われて、思わず「は？」と言葉を漏らすと、慌てて「好きって言おうとした」と訂正してきた。
どうやら告白だったらしい。
その言葉には素直に驚いたが、俺はもう学校の奴らなんてどうでもよくなっていた。
「住む世界が違う」
俺はお父さんを認めさせるんだ。好きだとか、そんなのどうでもいい、早く訓練の続きがしたい。当時、そんな風に思っていたと思う。
さっさと戻ろうとした俺に向かって「あきらめない」と宣言した彼女に、少し、俺とお父さんが重なった。
俺から目を背けた父と、どうでもいいと背を向けた俺。諦めないと、認めてくれと、俺を見てくれと必死になる俺と、俺に諦めないと宣言した彼女。
似ているようで違うのに、なぜか少し悔しい気持ちになって思わず歯を食いしばった。
「……勝手にしろよ」
振り向かせたいなら、もっと必死になればいい。俺みたいに。なんて自虐混じりの皮肉を思いながらそう言った。
中学に上がると、実際に彼女は俺に話しかけるようになった。
琥珀のようなキラキラした目で俺だけを見ていて、心の底から溢れてぽっかりと穴が開いた場所が、少し埋まる感覚だった。
「ねぇ、勉強教えてよ」
「嫌だ」
もっと、俺を見ててくれよ。
お父さんに向けているものとは違う、少しどろりとした感情がこぼれた。
こいつまでいなくなったら耐えられないと思いながらも、一度冷たくあしらった態度を変えることは出来なかった。
訓練し続けて、ある日。
炎が蒼く染まった。これならお父さんも俺を認めてくれる…！
あいつも…！
「勉強、教えてくれないかな…？」
おずおずと言った様子で今日も話しかけてきた彼奴に俺は、
「良いよ」
そう、答えた。少し、話したい気持ちだったから。
＿＿＿
＿
「うっ、うぁ……」
ふと目を醒ますと、額に汗をかいてうなされている彼奴。
「……てめェは本当に諦めなかったんだな」
首元をひと撫でして、首を絞めるように首に手をかけた。
「A。お前への執着も、俺にはあるんだぜ、知らねぇだろうけどな」
この細い首を絞めて俺が本気でお前を殺そうとしたとして。お前は自分だけを映す俺の目を見て喜ぶんだろう。
「…変態イカレ女が」
刹那＿。
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m(プロフ) - コメント失礼します。どちらのエンドも作ってくださるとは本当に有難いです。これから、更新再開にワクワクした気持ちで待つのが楽しみです。これからも心より応援しております。この作品を作ってくださり、読者のことを考えてくださり、本当にありがとうございます。 (2023年2月10日 21時) (
レス) @page36 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
どこぞのオタク - ぅぴゃぁ 尊い (2023年1月22日 17時) (レス) @page25 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
モブZ(プロフ) - 話の内容や主人公の性格性とか荼毘の言動とかめっちゃ好きです！更新頑張って下さい！ (2023年1月22日 2時) (レス) @page24 id: 4e3074e3cf (このIDを非表示/違反報告)
燈 - 社畜に年末年始など無いのです。更新遅くてすみません、気長に待って楽しんでいただけたら幸いです。コメントありがとうございます。励みになります。 (2022年12月28日 14時) (レス) id: 9e19da6f1a (このIDを非表示/違反報告)
かもめさ - 最高すぎます…！！！もう好きでしかないです。更新を楽しみにしています！！！ (2022年12月21日 11時) (レス) id: 41ebbd34c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2022年12月7日 11時
