二十日 ページ21
脱衣所では肉々しい兵士達が軍服を脱ぎ、次々と温泉へと入って行く。
やはり周りにいる兵士の体は筋肉の付きが良く、細っこい自分を見ては先程のテンションも下がり落
ち込んだ。
自分の体は胸板が薄く、肋骨や骨盤等の骨等があらゆる所から出っ張っている。
まるで地獄にいる餓鬼のようだ。
「ハァ.....」
小さくため息をつく自分に気づいた宇佐美上等兵は、森畠に声をかけた。
「森畠君どうしたの?さっきまで温泉だってはしゃいでたのに」
森畠はそう言う宇佐美に目を向ける。
おぅ...なんでそんな筋肉の付きが良いんですか...。
半分くださいよ…。
「いえ...自分だけこんなヒョロっこいのが悲しくなって...」
「は?ヒョロっこい?そんな身長高いのに...」
「自分、もっと上等兵殿の様に男らしくなりたいんです。」
森畠はとても真剣な表情で宇佐美にそう訴えた。
だが、真剣な表情で見つめられる宇佐美は小さく困ったような顔をする。
宇佐美は、自分は皆と同じように暮らしているだけで特に何かをしている訳でも無かったため、森畠に助言出来ることは言えなかった。
「悪いけど、僕からは何も言えないね。君の体質の問題じゃないかな」
「そう...ですか。ありがとうございます」
森畠は少し目線を落とす。
そしてその場には気まづい雰囲気が流れた。
その雰囲気に耐えかねた宇佐美はさっさと入ろうと森畠を連れて歩く。
そして二人は湯気に包まれる風呂に、一歩足を踏み入れた。
「わっ」
森畠は水で足を滑らせ転ぶ。
腰や頭を打ち小さく蹲るが、その後すぐに立ち上がり辺りを見回した。
「大丈夫?」
「すみません。大丈夫です」
風呂はやはりとても混んでおり、自分が憑かれる場所がないほど湯船は埋まっていた。
「うわぁ...。混んでるなぁ」
「ですね...」
そうボヤく二人はしばらく空いている隙間がないか見回ったが、ずっと見当たらない事でかなり困っていた。
その時、自分達を呼ぶ声が湯船の方から聞こえてきた。
「宇佐美上等兵殿!森畠!ここ空いてますよ」
その声は三島だった。
どうやら場所取りをしていてくれたそうで、そこには三島と共に尾形上等兵殿、岡田、野間も見られた。
「おぉっ!気がきくね。ささ、森畠君も」
「あ、ありがとうございます」
自分は上官たちの言葉に甘えて湯船に浸かった。
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赤青ほとゝぎす(プロフ) - 忍者氏さん» コメントありがとうございます!はいっ勇作さんも大好きで大好きで予定より早めですが登場させました!あの笑顔って営業スマイルって呼ばれてるんですね…!(伝わってるのがすごい)笑顔がぎこちない尾形上等兵も大好きでこちらも登場させました! (2019年2月13日 18時) (レス) id: e1ece6f77f (このIDを非表示/違反報告)
忍者氏(プロフ) - こんばんは!勇作さんでましたね…!尾形の営業スマイルが思い浮かびます笑今回のお話もとても好きです( ´∀`) (2019年2月13日 0時) (レス) id: 5510d14e32 (このIDを非表示/違反報告)
赤青ほとゝぎす(プロフ) - 忍者氏さん» こんばんは!私ニコニコ初めてだったんですが、まさか.....反応してくださるとは思ってもいませんでした(--;)そして、最近最新なくてすみません。勉強の野郎が邪魔をしてくるんです.....w (2019年2月4日 22時) (レス) id: e1ece6f77f (このIDを非表示/違反報告)
忍者氏(プロフ) - めろんMiiです!お久しぶりです。ニコ生面白かったですね…僕もなにかコメントすればよかったです笑 (2019年2月4日 19時) (レス) id: a461264cdc (このIDを非表示/違反報告)
赤青ほとゝぎす(プロフ) - めろんMiiさん» ありがとうございます!(●´▽`●)やっぱり男前のキャラはカッコよく登場させなければと言う使命感が働きまして...^^ (2019年1月4日 14時) (レス) id: e1ece6f77f (このIDを非表示/違反報告)
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