12.君と同じで ページ12
A「__こっちがマカロン。卵白とお砂糖、アーモンドを混ぜて焼いたお菓子です。そっちはブラウニー。チョコレートケーキの中にくるみを入れた焼き菓子です。本当はお紅茶のほうが合うと思うのですが…、短刀ちゃんには好評だったので、ぜひ食べてみてください。」
私は煎茶を淹れて鶯に差し出した。
鶯丸「君の時代には変わったものが沢山あるな。」
A「ふふっ…でもお茶の味は変わりませんから。」
鶯丸「__主、もっと近くに来い。」
鶯は畳をぽんぽんと叩いて、隣に座るように促した。
不思議に思ったが、私はとりあえず立ち上がって、鶯の隣に腰をおろした。
その瞬間__
___ぎゅっ
A「___っ…!!??」
嘘……
私、鶯に抱き締められてる…の??
突然の出来事すぎて頭が状況に追いついていかない
A「…あ、のっ……///!?」
鶯丸「__とても……見ていられない…。そんなに目元が腫れるまで泣いていたと思うと…っ……笑顔を見ても苦しくて__」
A「……!」
鶯丸「……あの時、君の肩が震えていた。君の怯えた瞳を見て、やっぱり自分は人を斬る道具なんだって……改めて思った。忘れたことなんて…ないはずだったのに…」
A「鶯………」
鶯丸「君は知らないかな。俺はもともと美術品で、長い歴史の中で、1度も人を斬ったことのない刀だ。……だからか、心のどこかで願っていたのかもしれないな。君と同じで在りたいと__」
私だって、鶯が刀であることは忘れるはずない……。忘れるはずないのに…
A「__大丈夫。今私を抱きしめているこの手は、とても温かいから……。間違いなく人の温かさです。」
鶯丸「__!」
A「今日は申し訳ありませんでした。あんな態度をとってしまい、鶯を傷つけた…。その後、鶯に避けられている気がして……涙が出てきてしまったの…。悪いのは私なのに、嫌われたんじゃないかって心配で……」
だって、夕食のときだって、目も合わせてくれなかった…。
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