検索窓
今日:39 hit、昨日:45 hit、合計:202,776 hit

3.私が 初めて あげられたもの。 ページ3

*





澄んだ月の夜だった。



「鬼さん、私、鬼のようだって言われてきました。


本当に、鬼さんの家族だったらいいのに。」




「そうか。」




ぶっきらぼうにでも、答えてくれるだけ嬉しかった。



その赤い目には何も映ってはいなくて




きっと私も、





「鬼さん、私、遠くへ行ってみたいです。


どこかに私とおんなじ人…鬼が居るのかもしれないから。」




「そうか。」




夜の風が寒かった。


虫の声が聞こえてくる。


虫は近くで鳴いているような気がした。




でも、姿は見えなかった。




「鬼さん、


私に、新しい名前をくれませんか。」






「…A。」



「A、Aですか。」



繰り返し、言葉にしてみると、心がほわほわした。


鬼さんが、くれた、名前




「お前も何かつけてみろ。」




「え、」



「鬼さんといつまで呼ぶつもりだ?

鬼なんぞ、いくらでもいるというのに。」




どうしよう、この美しい人に、鬼に、見合う名など、



私に思いつくだろうか。




でも、言葉は多く知らないし、案外すぐに決まった。






「ゆうや。」







「ほう。理由は。」



「燃える、夕焼けみたいな赤い瞳に、


夜みたいな、深い黒の髪を持ってるから。」





鬼は、手を顎に当て一息考えていた。




「まぁまぁだな。


お前がそう呼ぶことを許してやる。」




「ゆ、夕夜さん。えへへ、ゆうやさん。」



私が、初めて、鬼さんにあげれらたもの。



「だらしのない笑い方だな。」




鬼さんも笑った。小馬鹿にしたような笑いだった。



それが、心地よかった。






*

4.目覚めた場所はどこ?→←2.朝日に染まる君への言葉は、



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (468 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1204人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まゆゆ(プロフ) - ヒロインちゃん可愛いっ!更新待ってます♪ (4月16日 22時) (レス) @page35 id: d6c6f36b97 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - とても素敵なお話です!続きが気になります!更新を楽しみにしてます⸜( •⌄• )⸝ (2月4日 11時) (レス) @page28 id: 311499c733 (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (2月3日 22時) (レス) @page28 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
初心者です! - 面白すぎて地球滅ぼせますy(((すっごく面白いです!これからも無理せず更新頑張ってください! (1月2日 17時) (レス) @page27 id: 4136f150ea (このIDを非表示/違反報告)
ちだまり(プロフ) - 更新されてる😭大好きです…!!これからもゆっくり頑張ってください😭💪 (12月31日 18時) (レス) id: 10c37c042f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:福笑い | 作成日時:2022年9月5日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。