46. ページ46
.
今日は、朝からなんだか体調が悪かった。
階段を下る足取りさえ重く
フラフラと身体が傾いだ。
「……………勉強しすぎかな。」
ふっと自嘲気味に独り言が漏れる。
成績を落としたくなくて、夜中まで勉強しているせいか
ここ最近、頭がぼーっとすることが増えた。
これじゃ、本末転倒だ。
早く力をつけて、自立しなきゃならないのに。
その瞬間、ガクンと足を滑らせ
階段を踏み外した。
「あ…………っ」
……………そのまま転げ落ちるかと思いきや
誰かに後ろから腕を引かれたのがわかった。
翔「…………あっぶね…………。」
恐る恐る振り返り頭上を見上げると
翔太が、ぺたんと階段に座り込んだ私の腕を掴み
いとも簡単に、片手で引き上げた。
細身で華奢なのに、こういう時
翔太も男の子なんだと思い知る。
「翔太…………ありがとう。」
翔「大丈夫？怪我は？」
「平気………翔太が助けてくれたから。」
埃がついたスカートを払いながらそう言うと
翔太が私の顔をまっすぐに見つめた。
「…………どうしたの？」
翔「おまえ、なんかフラフラしてたから。
具合悪いの？」
心配そうな翔太の表情に、思わず胸が痛む。
まるで、兄が妹を心配するかのような
そんな翔太のその優しさに
切なくなるような感覚がするのは何故なんだろう。
「平気だよ。ちょっと寝不足なだけ。」
そう言って、にっこり笑うと
翔太が、私の額に手を当てた。
びっくりして固まっていると
今度は、私の首筋に手を当てる。
翔「…………やっぱり。おまえ熱あんな。」
言われるがままに
翔太に保健室に連れてこられたけど
生憎先生が不在だった。
とりあえず体温計で熱を測ると37.9°あって
道理で具合が悪いわけだと納得する。
翔太は翔太で、ぶつぶつと文句を言いながら
薬棚をゴソゴソと漁っていた。
翔「なんかロクに薬そろってねぇな。
薬包むゼリーもねぇし。」
そう言う翔太に、思わずクスッと笑ってしまう。
「そりゃゼリーは無いでしょ。
高価な薬は鍵付きのボックスに入ってるんだよ、きっと。」
翔「おまえ、ゼリー無いと薬飲まねぇじゃん。
あの時だって………」
「あの時？」
前に翔太の家で熱を出した時か。
そう言えば、あの時も翔太が色々看病してくれたんだっけ。
翔「………おまえ、寝てたもんな。
覚えてねぇか。」
「何を？」
翔「おまえ、薬飲む前に寝ちゃったから
口移しで薬飲ませたの。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3005人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋那(プロフ) - サラさん» リバイブ今でもほんと1番大好きでたまに読み返しては泣いてます（ ; ; ）笑サラさん紫耀くんのイメージだったのでしょっぴーびっくりしました！笑そう言っていただけて嬉しいです(>_<)これからも楽しみにしてます♡ (2021年11月14日 1時) (
レス) id: fc8046642d (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 恋那さん» れなちゃんがコメントくれたから、久しぶりに私も懐かしくなって昔の作品読み返したりしたよ笑。しょっぴー好きなんだね♡れなちゃんがコメントくれたから、また更新する気が湧いてきたよ(>_<)ありがとね (2021年11月10日 11時) (レス) @page46 id: a22bbce5cb (このIDを非表示/違反報告)
恋那(プロフ) - サラさん» あのれなです(＞＜)数年前から渡辺翔太くん推してて久々に占ツク開いたらサラさんが渡辺翔太のお話書いててひとりで嬉しくなりました(＞＜)未だによく読み返すくらいどの作品も大好きです☺︎♡ (2021年11月2日 2時) (レス) id: fc8046642d (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 恋那さん» れなちゃん、、？あのれなちゃんかな（ ; ; ）コメントありがとう！人違いだったらどうしようと怯えてます笑。ブリュレ読んでくれてるんだね、ありがとうー(＞＜) (2021年11月1日 23時) (レス) id: a22bbce5cb (このIDを非表示/違反報告)
恋那(プロフ) - こんにちわ☺︎覚えてないかもしれませんがお久しぶりです！！reviveからずっとサラさんの作品が大好きでコメントさせて頂きました。ストーリーもひとりひとりの言葉使いも繊細で見るたびに引き込まれます。これからも楽しみにしてます！☺︎ (2021年11月1日 16時) (レス) id: fc8046642d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年1月5日 19時
