ブリュレ【Shota.W Ren.M】

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いつから私は、自分を偽るようになったんだろう。






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蓮「Aさん、あれから酷いことされてない？」


蓮君の指が、私の頬を撫でる。




「平気だよ。なるべく顔合わせないように
部屋に閉じこもってガリ勉してる。」


そう言って、私はにっこりと笑顔を作った。




蓮「それ以上頭良くなっちゃったら
東大入れるんじゃない？」


「それいいね！東大入ったら、さすがにもう
文句もつけられないだろうし。」


笑いながらそう言うと
私のその言葉に、蓮君の表情が
一瞬曇ったような気がした。




「…………何？」


蓮「いや………Aさん
家でどんな目に遭ってるんだろうなって思って。」



蓮君の、私を見つめるその哀れみの眼差しに
言葉が詰まる。


一瞬、口から出そうになった言葉を飲み込んで
私はまた、笑顔を作った。




「大丈夫、学校で蓮君に会えるだけで
元気出るから。」


蓮「…………そっか。」


蓮君は、何か言いたげだったけど
何も言わず、いつも通り優しく目を細めて
私の頭を撫でた。









蓮君が教室に戻った後
無意識に、溜め息が漏れる。



……………蓮君に、暗い顔は見せたくなかった。



心配かけたくない、なんて体のいい言葉で
本当は、暗くて惨めな自分をさらけ出して
蓮君に嫌われたくなかった。



“いつも優しくて笑顔の彼女”でいられなくなることで
蓮君が離れていってしまうんじゃないかと思うと
私はもう、自分自身を演じずにはいられなかった。








まだ、大丈夫。
私なら、頑張れる。


頑張れば、きっといつか
道が開ける。


だから、頑張るんだ。


この時はまだ
そう、思っていた。





だけど。






あんな風に、何もかもが壊れてしまうなんて
この時は、思いもしなかったんだ。









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