38.Ren ページ38
.
いっそ、誰の目にも触れられないように
閉じ込めてしまおうか。
難しそうな理系の参考書に目を落としていた彼女が
ようやく顔を上げ、腕を上げ伸びをした。
「うー、肩凝った………」
眼鏡を外し、目頭を押さえたら
今日の勉強は終わりの合図だ。
蓮「Aさんて、学校ではコンタクトなんだね。
最近まで知らなかった。」
「お泊まりする仲にならないとわからないよね。
家では眼鏡だよ、ずっと。」
蓮「どんくらい目悪いの？」
「んー、この距離だと蓮君の顔はぼやけるね。」
そうやって、目を細めながら俺を見つめる。
俺は、椅子に座るAさんの前に移動し
彼女の腕を掴んで立ち上がらせた。
息がかかりそうなほど至近距離で彼女を見つめると
彼女の大きな瞳に吸い込まれそうになる。
蓮「この距離は？」
「………さすがに見えるよ。ゼロ距離だもん。」
俺は、そのまま彼女の柔らかい身体を
ぎゅっと抱きしめた。
「………蓮君？」
彼女の細い腕が
俺の背中にそっと回されたのがわかって
なんだか泣きそうになる。
蓮「Aさんの勉強が終わるの
おとなしく待ってたんだから。
イチャイチャさせて……………」
「ふふ、そうだね。
ありがと、いい子で待っててくれて。」
女の子にしては背が高いけど
俺よりこんなに小さくて
壊れてしまいそうなほど細くて柔らかいのに
いつまで経っても敵わなくて
手が届かない気がするのはどうしてなんだろう。
蓮「ねぇ、しょっぴーは
Aさんが普段眼鏡なの知ってる？」
翔太君の名前を出すと
あからさまに彼女の顔色が変わる。
翔太君のことなんか、1ミリも考えてほしくないのに
こうしてわざわざ彼の名前を出してしまうのは
俺に相当余裕がない証拠だ。
「………そりゃ、幼馴染だもん。
中学までは学校でも眼鏡使ってたから。」
蓮「他には？」
「え？」
蓮「翔太君が知ってて、俺が知らないこと。」
そう言うと、彼女は黙ってしまう。
何か考えを巡らせている姿を見て
一気に不安が押し寄せる。
無意識にAさんを抱きしめる腕に力がこもり
彼女が苦しそうに声を漏らした。
「蓮君、痛いよ…………」
翔太君は、きっと
俺の知らないAさんを沢山知っていて
俺がそれを今の段階で越えることは出来ない。
だけど、こうして彼女を抱きしめたり
恋人として彼女を扱うことを許されているのは
俺だけなんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3005人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋那(プロフ) - サラさん» リバイブ今でもほんと1番大好きでたまに読み返しては泣いてます（ ; ; ）笑サラさん紫耀くんのイメージだったのでしょっぴーびっくりしました！笑そう言っていただけて嬉しいです(>_<)これからも楽しみにしてます♡ (2021年11月14日 1時) (
レス) id: fc8046642d (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 恋那さん» れなちゃんがコメントくれたから、久しぶりに私も懐かしくなって昔の作品読み返したりしたよ笑。しょっぴー好きなんだね♡れなちゃんがコメントくれたから、また更新する気が湧いてきたよ(>_<)ありがとね (2021年11月10日 11時) (レス) @page46 id: a22bbce5cb (このIDを非表示/違反報告)
恋那(プロフ) - サラさん» あのれなです(＞＜)数年前から渡辺翔太くん推してて久々に占ツク開いたらサラさんが渡辺翔太のお話書いててひとりで嬉しくなりました(＞＜)未だによく読み返すくらいどの作品も大好きです☺︎♡ (2021年11月2日 2時) (レス) id: fc8046642d (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 恋那さん» れなちゃん、、？あのれなちゃんかな（ ; ; ）コメントありがとう！人違いだったらどうしようと怯えてます笑。ブリュレ読んでくれてるんだね、ありがとうー(＞＜) (2021年11月1日 23時) (レス) id: a22bbce5cb (このIDを非表示/違反報告)
恋那(プロフ) - こんにちわ☺︎覚えてないかもしれませんがお久しぶりです！！reviveからずっとサラさんの作品が大好きでコメントさせて頂きました。ストーリーもひとりひとりの言葉使いも繊細で見るたびに引き込まれます。これからも楽しみにしてます！☺︎ (2021年11月1日 16時) (レス) id: fc8046642d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年1月5日 19時
