ブリュレ【Shota.W Ren.M】

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その日は、天気予報は外れで
午後から豪雨だった。

傘が無いから、走って家まで帰ってきたものの
ドアノブを回しても、ドアが開かない。



「もー……なんでこんな日に限って
鍵忘れるかな………。」

ママ、まだ仕事なんだ。

遅い時は遅いんだよな。
どこかカフェで時間潰すか………。

途方に暮れて、玄関に立ち尽くす。
シャツに雨が染み込んで、冷たかった。




翔「A？」

名前を呼ばれて振り返ると
傘を差した翔太が、こちらを見ていた。



「翔太………。」

翔「びしょ濡れじゃん。
傘は？鍵無いの？」

すぐに駆け寄って
私を傘に入れてくれる。

私に傘を傾け過ぎて
翔太の肩が濡れ始めた。


「ママ、まだ仕事みたいで。
いつも鍵持ち歩いてるんだけど
今日忘れちゃって……」

翔「バカだな。ウチに来な。」

優しい瞳でそう言われて
なんだか泣きそうになる。

翔太は、私の肩を抱くようにして
隣の自分の家に私を引き入れた。

バックから鍵を取り出し
ガチャガチャと鍵を開ける。


「翔太ママ、いないの？」

翔「ああ、ウチも共働きだもん。
言ってなかったっけ。」

昔は、翔太ママは専業主婦だった。

翔太の妹も大きくなったから
また働き出したのかな。




翔「A、風呂入れ。
濡れ方尋常じゃねぇぞ。」

タオルを差し出しながら
翔太が心配そうな目を向ける。


「や、悪いよ、そんな。」

タオルで一通り身体を拭き
髪の毛の水分まで取ると
ずっしりと重みを増した。


翔「いいから、入れ。風邪ひくから。」

正直、翔太がここまでしてくれるのが
意外だった。

仲が悪いわけじゃなかったけど
翔太と2人きりでの空間は
いつもどこか少し気まずくて
避けられているような気さえしていたから。


「でも………妹ちゃんも
もうすぐ帰ってくるだろうし。」

翔「いや、関係なくね？それ。
顔見知りなんだし、別にいいだろ。」

煮え切らない私を見て
翔太が少し苛立つのがわかる。

………翔太のこういうところが
私は苦手だった。

萎縮した私を見て
翔太が、ハア……と溜息をついた。




翔「おまえさ、透けてんの、下着。
目のやり場に困るから、風呂入って着替えてきて。」





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