目黒さんの家政婦です (ページ38)

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朝、目覚めると隣は冷えていて

　家のどこにもいなかった

　早朝からのお仕事だったみたい

　『ほんと不規則なお仕事だよね』

　カフェのバイトから一時帰宅して

　朝できなかった分の家事と

　目黒さんの晩御飯を用意しておく

　『帰りは早いんだ』

　カレンダーに書き込まれている

　19時帰宅の文字に目をやる

　私と入れ違いになるくらいかな

　また目黒さんとすれ違いの生活になる

　少し寂しい気もするけれど

　今は頑張るしかない

　『あぁ！岩本さんに返事するの忘れてた！』

　目黒さんの仕事といえば、、、と考えれば

　岩本さんを思い出した

　急いでトーク画面を開く

　『えっと、えっと』

返事遅くなってすみません!
私でよければ是非!

　『、、、岩本さんとお出掛けだ』

　思わず口角が上がったのを

　きゅっと引き締め

　『よし、行くか』

　お金のため、お金のため

　いつも出勤前に自分に言い聞かせている

　少しは見慣れた

　ギラギラと光る街を

　今日は何時に帰れるのかと考えながら歩く

　いつも通り

　店に入ろうとしたとき

.

　「おい」

　聞きなれた声が聞こえ

　腕を強い力で後ろから引っ張られた

　『へ、え、め、ぐろさん』

　帽子を深くかぶった目黒さんがいた

目「何やってんだよ」

　『え、えっと』

　いるはずのない人が現れて

　見たことのないくらい怖い顔をしてて

　何が何だか分からなくなってパニックになる

村「あれぇ、Aちゃん

　どしたの～」

　村上が様子がおかしいことに気付いてこっちにくる

目「こいつ、辞めたんで」

村「はぁ？」

目「帰るぞ」

　村上を無視して

　私の腕を引いて店を出る

　『ちょっちょっと』

目「、、、、、」

　一言も話さず

　歩幅も合わせてくれることなく

　ズンズンと早歩きで歩く

　明らかに足の長さが違う私は

　小走りになるし

　腕は掴まれて痛いし

　なによりも目黒さんがすごく怒ってることがわかる

　それが一番怖い

　家について

　リビングまで引っ張り入れられ

　入ったところで立ち止まる

目「どういうつもりなわけ」

　帽子をとって振り向き

　私をドアに追い詰める

　『う、え、あ』

目「答えろよ！！」

　急に怒鳴られ

　びくっと肩を震わせる