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途中で雨が降ってきたりと紆余曲折最悪だったけど、なんとかてっちゃんの家までたどり着いた。雨でびちょ濡れ。それに無我夢中で走ってたから気づかなかったけど、パンプスで走るもんじゃないね、かかとが靴擦れしてる。いたい。振り返っても、田中さんはいなかったから私の完全勝利だ。
エレベーターに乗って、鍵のかかってない玄関のドアを開けた。不用心だぞてっちゃん。
うわーなんか安心したら一気に力抜けてきちゃった。気持ち悪くて吐きそうだし、服が濡れてるから寒いし気持ち悪い。あと眠い。
濡れてたまま上がるのは申し訳なくて、誰かを呼ぼうと思ってたら救世主が現れた。
「何してるのAちゃん」
「ちょっと色々あって…お酒飲んで全力疾走してみた」
「なにそれ検証動画でも撮ってるの?」
「虫さん……きもちわるい」
「は?もしかして吐きそうってこと?ちょっと待って!てつやー!Aちゃんがやばーい!」
タオル持ってくるからちょっとだけ待ってねって虫さんがいなくなって、代わりにてっちゃんが来てくれた。
「なんでそんなずぶ濡れなの。傘は?呼んでくれたら迎えに行ったのに」
「急に振ってきて傘なくてね濡れた」
「とりあえず風呂入りな」
「その前に気持ち悪くて無理」
虫さんが持ってきてくれたタオルで私をくるんで、てっちゃんがトイレまで連れて来てくれた。背中さすりながら、気持ち悪いね〜辛いね〜って言ってくれる私の幼なじみ最高でしょ。ほんと汚い話でごめんなさい。
ようやく気持ち悪いのが落ち着いた頃、今度は脱衣所まで運んでくれて、湯船お湯はったから温まりなさいって、てっちゃんが言った。やさしさがしみるねぇ。少しずつ酔いも冷めてきて申し訳ない気持ちがふつふつ湧いてきた。
「ごめんね。迷惑かけて」
「いいよこんくらい」
「ありがとうてっちゃん。そういえば、りょうくんは?」
「ちょうどAが来るちょっと前に撮影終わって帰ったんだよね」
「……そっかぁ」
「虫さんが連絡するって言ってたからすぐ来るんじゃない」
とりあえず風邪ひくから風呂入れって言われて、脱衣所に閉じ込められた。うん。てっちゃんの言う通り風邪ひきそうだからお風呂に入ろう。
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花(プロフ) - ななさん» 温かいお言葉ありがとうございます!拙い文章ではありますが、続けて書いていけるように頑張りたいと思います! (2019年4月23日 23時) (レス) id: 20c6cc5c87 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 初めまして!素敵な読み物ありがとうございます(*'▽'*)これからも作者さんのペースで投稿待ってます…! (2019年4月22日 19時) (レス) id: 52db76b921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2019年4月13日 20時