番外編 ページ44
(善逸side)
時計を見上げると、時刻は授業終了の10分前である。
「土日で採点するので、終わった人から提出してください。今日は以上です。」
透き通るような声に、配られたプリントに視線を落とす。
途端に教室はざわめくが、自分は生憎と解き終わりそうにないのでペンを走らせていると、炭治郎が声をかけてきた。
「善逸、終わりそうか？」
「んー、放課後までには何とか。」
「ここの単元苦手って言ってたもんな…。頑張れ！もしも分からないことがあったら聞いてくれ！」
「はは、ありがとう、炭治郎。」
SHが終わる頃には何とか解き終わり、プリントを手に化学準備室へと足を運ぶ。
「し、失礼しまーす…」
化学準備室をそっと覗き込むとそこには担当教諭の朝霧先生しかおらず、彼は窓を開けて煙草を吸っていた。
仄かにバニラの香りがする。
煙草にそんな匂いがあるのだろうか？
どの銘柄だろう。
煙草にしろ、バニラの匂いにしろ、朝霧先生にはそんなイメージが無かったので吃驚する。
当の本人は吸っていることがバレても問題がないとでも言うように、俺に気がついても平然と煙草を吸い続けている。
「朝霧先生って煙草、吸われるんですね。匂いとかしないんで気が付きませんでした。」
「そりゃ香水の匂いの方が強いからだろ、そしてそんなんお前らの偏見だよ。煙草に関しては竈門は気がついてたけどななんとなくだろうけど。」
朝霧涼雅。
化学教師。
学園屈指の美形で生徒からの人気も高い。
クールだが優しい生徒想いの先生。
口調も、態度も、普段とは何もかも違う先生に今まで俺らは【作っている】先生を見せられていたと実感する。
いや、先生にとったら今の方が普通なのかもしれない。
「まぁ、炭治郎は鼻がいいですし、俺らは作られた先生しか知らないので。」
「ふぅん、でもお前は知ってんじゃん。」
「………？」
朝霧先生は煙を吐き出した後、俺に向き直る。
「作られてない俺を。」
煙草の火を消したあと、朝霧先生は俺の背中を押し出す。
「ささ、用が済んだなら出てけ。もうすぐ冨岡がここに来るぞ。あ、プリントはそこな。」
ほんのりまだ残る、バニラのような煙草の匂いは嫌ではなかった。
□
現代コソコソ噂話
朝霧はバニラ風味の煙草を愛用している。
「不味いもん吸えるかよ。」
「なら初めから煙草なんか吸うなよ。」
「はいはい、実弥は真面目だねぇ。」
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天麩羅 - わわわ更新されてるぅぅううう！! (2020年3月15日 22時) (
レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - わぁーーーぁああああ!面白いぃぃぃぃいいいい!更新頑張って下さいぃいい!！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - いおりさん» ありがとうございます。そのようなお言葉本当に嬉しい限りです。 (2020年2月1日 22時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
いおり - めっちゃどタイプの小説きたーーーっ、これからも期待して待ってます。更新頑張ってください (2020年1月12日 14時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - mo4さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小坂谷 真夜 | 作者ホームページ：@lotus_1022
作成日時：2019年9月9日 22時
