【鬼滅の刃】救われない。【男主】

第43夜 ページ43

ｺﾞﾄﾘと童磨の首がカナヲと伊之助によって落とされる。

やがてその体は崩れ始めていった。

全て、終わったのだ。

胡蝶しのぶの長い戦いが。

カナヲは必死にしのぶの髪飾りを探し出し涙を流す。
そして伊之助は亡き母を思い涙を流す。

ただ、そんな2人を眺めながら、刀を支えに朝霧は立ち上がる。

しかし、上弦ノ弐を倒しても戦いは終わらない。
鬼との戦いは終わらない。

「カナヲ、伊之助。怪我は大丈夫か。」
「はい。」
「問題ねぇよ、このくらい。」

それが嘘だと分かりながら、朝霧はなにも言わない。
2人は必死に涙を拭おうとするが、朝霧がその手を止めさせる。

「辛い時は、泣けばいい。」

そして朝霧は己の再生が済んだのを確認すると、出口へと足を進める。

「何処かで治療してもらえ。まだ戦いは残っている。」
「朝霧さんは、どこへ……」

カナヲのその問いかけに、朝霧は羽織を無意識に握りしめる。

「俺も、敵(かたき)を撃ちにいかなければならない。二十年前の、あの日の。そして、仲間達の。」

その相手が鬼舞辻無惨であることを二人は察してしまった。

二人は何故、朝霧の体が再生するのか、それらの疑問をぐっと堪えて、朝霧を見つめる。

今はその時ではない。

そう言われてる気がしたのだ。

「ご無事で。」

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