第31夜。 ページ31
朝霧の柱稽古は強制ではなく希望制であった。
ただ、朝霧本人と手合わせできること、細かな助言を貰えること、それらの事から柱稽古に参加していた隊士の殆どは彼の稽古を希望していた。
「涼雅さんッ!」
「…実弥か。久しいな。」
それは柱も同じであった。
己の柱稽古の合間を縫って他の柱との
そして風柱・不死川実弥はいの一番に手合わせを申し込んでいた。
不死川にとって、朝霧は憧れの的であった。
かつての合同任務で朝霧の剣技を目の当たりにした時に、それは己を鼓舞させたのだと言う。
そして今回。
そんな朝霧と呼吸を使って手合せができると言う絶好の機会を不死川は逃すわけにはいかなかった。
光の呼吸は雷と風の双方の呼吸の派生という事もあり、この手合せから得られるものは必ずある。
それもあるが、ただ純粋に、不死川は心を躍らせていた。
「風の呼吸、弐ノ型___爪々・科戸風ッ」
「光の呼吸、壱ノ型___月華閃々。」
二人は木刀を握り締めたのを合図に技を繰り出す。
不死川が放った無数の斬撃を相殺するかのように、朝霧もまた、複数の斬撃を繰り出す。
その際の朝霧の木刀を構えた位置からほぼ動いていないように周りからはやはり見える。
しかし、さすがは風柱と言うべきか。
不死川はほんの少しの木刀の動きをも感覚で感じ取る。
「はッ!」
不死川はその場で空中に飛び出すと、伍ノ型を放つが、それは一瞬にして掻き消された。
「光の呼吸、拾ノ型___黎明」
拾ノ型・黎明は持ち前の高速剣から生まれた朝霧独自の技である。
少ない抜刀から、多くの斬撃を跳ね返す技であり、冨岡の生み出した凪に近い技だと言われている。
冨岡との違いは圧倒的な抜刀の速さである。
故に余裕が生まれ、少ない抜刀で多くの斬撃を跳ね返すことが出来るのだ。
「まだまだッ」
その後も二人の手合せは続き、隙を狙い、朝霧が不死川の首寸前で木刀を止め、朝霧の勝利で手合せは幕を閉じた。
「はぁ、はぁ、実弥、無理はしていないか?」
「ハッハッ、大丈夫、ハッ、です、ハッ。」
息の上がった不死川を肩で支えると、朝霧は屋敷へと連れていく。
「……聞きたい話もあるだろう。休息をとろう。」
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天麩羅 - わわわ更新されてるぅぅううう!! (2020年3月15日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - わぁーーーぁああああ!面白いぃぃぃぃいいいい!更新頑張って下さいぃいい!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - いおりさん» ありがとうございます。そのようなお言葉本当に嬉しい限りです。 (2020年2月1日 22時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
いおり - めっちゃどタイプの小説きたーーーっ、これからも期待して待ってます。更新頑張ってください (2020年1月12日 14時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - mo4さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作者ホームページ:@lotus_1022
作成日時:2019年9月9日 22時