20 JN side ページ20
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『俺のことが好きなんだろ?
じゃあ、これからは好きでもないヤツと
関係を持つのは止めるって誓え』
いつの間にか正面から見つめていたA
その姿が歪んで見えた
僕を苦しめていたのは自分
その事実に傷つきながらも
なんとか救い出そうとしてくれる
『驚いたけど好きって言われて嫌じゃなかったから…
たとえそれが友達としてじゃなくても…』
頬に手が添えられ
伝う涙を拭ってくれる
Aの言葉と触れる手の温かさに
涙が止まらない
『もう女を捌け口にするのは止めろよ
お互い傷つくだけなんだから…』
頷くように目を閉じれば
途端に溜まっていた涙がいくつも頬を流れる
それを1粒も零さないように
Aの手が拾っていく
『ジナが泣いての久しぶりに見たかも』
そう言って、Aが笑った
気持ち悪いと思われてもよかった
受け止めて
ちゃんと考えてほしかった
怖かったのは嫌われることじゃない
この気持ちをなかったことにされること
それが1番怖かった
物心ついた時にはAが好きで
その気持ちとともに今まで生きてきた
それをなかったことにされるのは
自分自身を否定されるのと同じ
『ほら〜、あんまり泣くなって』
「…A」
『ん〜?』
「A」
『だから何だよw』
その存在を確かめるように
何度も名前を呼んだ
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作者名:HEKi | 作成日時:2023年5月14日 23時